164センチの「飛雄馬」敦賀気比・岡部は、投打で野球センス抜群【この秋輝いた球児たち】
この男のパンチ力には驚いた。第55回明治神宮大会・高校の部、初戦に臨んだ敦賀気比(北信越・福井)の岡部 飛雄馬内野手(2年)が、右翼席への本塁打を放った。身長は164センチ。決して恵まれた体格ではないものの、1番打者としてチーム内で一目置かれる存在であることが理解できた。 敦賀気比・岡部の北信越、明治神宮大会の成績 6回に5対2と逆転して、なおも走者を2人置いた場面で打席に入った岡部が、甘く入った直球を鋭くたたいて、ライナーで右翼席へ3ランを放ってみせた。スイングスピードが速く、インパクトまで上からたたくような質の高いバットコントロールだった。公式戦初本塁打だったというが、小柄な打者で低反発のバットということを感じさせない、スラッガー級の打球を飛ばした。 強豪・敦賀気比のなかにあって、1年から試合に出場し、今年のセンバツでも1番でスタメン出場。初戦敗退となったが、岡部自身は3打数2安打のマルチ安打をマークした。新チームでは主将を任されている。東監督からも絶大の信頼を得ているという。北信越大会、明治神宮大会の6試合すべて安打をマークし、合計で22打数10安打9打点、打率.455と結果を残している。 明治神宮大会の準決勝、広島商(中国・広島)戦では、高校初という先発マウンドにも立った。結果は3回4失点でマウンドを降りたが、直球は130キロ前半ながら、チェンジアップ、スライダーなどの変化球も低めに集めるなど、器用な部分を発揮した。同OBで広島でも活躍した東出輝裕氏と同じく「主将で1番投手」をこなしてみせた。 漫画「巨人の星」のファンだという父から命名された「飛雄馬」。小さいころから父と練習したという、漫画のストーリー顔負けの親子二人三脚でここまでたどり着いた。来年のセンバツで、努力の164センチプレーヤーが打って投げての活躍を見せるかもしれない。