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コロナを機に教育も人生も見つめ直そう、まず野外学習で生態学を

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The Guardian

【執筆:George Monbiot】  緊急に協力し合うことが求められる今この時期を生きる私たちは、他者と競争して個人の成功を収めるよう教育を受けてきた。政府は国民に対し、教育の目的とは、他者もしくは他国より抜きん出ることだと吹き込んできた。大学で収めた成功が、大卒の初任給で評価されることもある。しかし人を負かすことなど誰にもできない。私たちが経済的な成功と見なすよう促されているものは、究極的には、地球の崩壊を意味する。  多くの人が今、こうしたアプローチを学習、そして人生そのものに取ることを拒否し始めた。5月上旬に報じられたある調査では、英国人の10人に6人は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が終息した後、政府には経済的成長より健康と福祉を優先してもらいたいと考えていることが分かった。これは、私が何年も見てきた調査結果の中で、最も希望を抱かせるものだ。  教育は、私たちの主要な課題や目標から外に向かって働くべきだと私は考えている。シェークスピアや、その他の見事な芸術や文化を忘れるべきだと言っているわけではなく、私たちの存続に必要不可欠な物事は、それに値する重みを与えられるべきだ。私はロックダウン(都市封鎖)の間、これまでずっと夢見てきたことを実行している。生態学の教育を試しているのだ。  生態学を独立した科目として教えているのではなく、もっと根本的に、生態学と地球システムが生命の中心であるように、学習の中心に据えている。そうして私たちは生物の世界を中心にプロジェクト学習の実験をしている。まずは、A4サイズのパネル15枚から成る巨大な絵を作ることから着手した。それぞれのパネルでは、山頂から深海、林冠から土に至るまでさまざまな生息地を紹介し、それぞれの場所に関連した野生生物の写真を貼り付けていく。  この絵は、それぞれの生態系の経過と関係や、地球システム全体を調べる基盤となる。次にこれらは、他の分野につながる鍵となる。例えば、熱帯雨林の生態学は光合成へとつながり、それが有機化学、原子、分子へとつながり、炭素循環や化石燃料、エネルギー、電力へとつながる。ラッコは食物網、キーストーン種(個体数が少なくても、その種が属する生物群集や生態系に及ぼす影響が大きい種のこと)、栄養カスケード(生物の捕食・被食関係を通じて影響が段階的に波及すること)へと私たちをいざなってくれる。  私たちは、土壌生態学や、風変わりな物、顧みられていない物(これらはすべて、あらゆる人の命が依存しているものだ)の野外調査を行ってきたが、こうしたものは、自宅でも公園でも調査できる。こうした学習は、基本的な科学原理や実験計画を教えてくれる。さらにそこから、さまざまな実例の結果を比較・記録することで、数学やレポート、作文などさまざまな学習にもつながる。  私たちが学んでいる物事に革新的なものなど何もない。重点を置いているのは、内容よりも、何を最も重要なものとして中心に据えるかだ。私たちは今おそらく、教育の基盤全体を見直す機会を手にしているのではないだろうか。スコットランド当局が指摘するように、野外学習は、対人距離を取ることが可能となるため、子どもたちを学校に戻す方法として最善かもしれない。生物の世界と再び向き合うのに役立つ。  今は、「大いなるリセット」の時期だ。自分たち自身と、地球における自分たちの居場所を見つめ直す機会として活用しよう。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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