日曜劇場「史上最低」視聴率の可能性も…『海に眠るダイヤモンド』好評なのに数字がついてこない理由とは? 識者が語る「盛り込みすぎ」の落とし穴
現在放送中の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。1955年以降の炭鉱島「軍艦島」(長崎県端島)の隆盛を描く過去編と、2018年の東京を描く現代編の2軸でストーリーが進行する壮大な物語。主演の神木隆之介は、その2つの時代の主人公を一人二役で演じている。 【写真あり】最後までみたい10月新ドラマ『海に眠るダイヤモンド』は何位? ストーリーは重厚で、キャストも豪華なのだが、残念ながら視聴率は芳しくない。 10月20日、初回の視聴率は11.0%でスタートしたが、第2話で9.3%に下落(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。第3話は7.0%で、第4話7.5%、第5話7.4%、第6話は6.7%まで下がってしまった。 これまで120本以上のドラマを放送している「日曜劇場」枠で、歴代ワーストの平均視聴率は2014年1月期の『ごめんね青春!』の7.7%。このまま行くと、平均視聴率のワースト更新となってしまう可能性がある。 Xでも「面白いのに、なんで?」という意見が多数投稿されている。 《海に眠るダイヤモンドの視聴率あんましなんか。1話ごとに話がちゃんと完結するものじゃないと流行らんのかね。脚本家としては話数を重ねて深めていきたいやろから難しいな》 《海に眠るダイヤモンドが意外にも低視聴率。続けてみていないと面白くないんだろうな。せっかく素晴らしいキャストなのに、展開を変えれば絶対高視聴率なのに!勿体無い!》 炭鉱で働く人々の生活の営みや恋模様を盛り込んだストーリーはネット上では好評のようだが、なぜここまで数字が悪いのか――。その理由を独自視点のテレビ番組評で人気のコラムニスト・吉田潮さんに聞いた。ちなみに、吉田さんはこのドラマの大ファンだという。 「視聴率って、もはや人気の指標にならない気もするのですが、視聴率がふるわないということは、中年以降・シニア層がそっぽ向いたってことでしょうかねぇ? スポンサーもテレビ局も、視聴率より再生回数を重視してるのでは? シニア入りかけの私は、日曜劇場のなかでも好きなほうなんですけどね……」 とはいえ、見逃し動画配信サービス「TVer」でも、『海に眠るダイヤモンド』のお気に入り登録数は95.4万で、合格ラインと言える100万には届いていない。 では吉田さんは、具体的にドラマの内容をどう見ているのか。 「もしかしたら、もっと単純な物語のほうがウケるのかもしれません。悪役がいて裏切り者がいて、連帯感と熱情と頓知で乗り切る主人公、みたいな。 考えてみれば、台風被害の回で、炭鉱の労組問題も入れ込んであったし、殺人事件も炭鉱火災も起きちゃった。『盛り込みすぎ』と感じた人もいたのかもしれません。単純明快・勧善懲悪を求める層は観なくなったのかもしれないですね」 一方、同作は、昨今のドラマで重視されることも多い “考察要素” が多分に組み込まれている。勧善懲悪のシンプルさはないかもしれないが、視聴者を引きつける内容は十分だ。 ドラマは過去パートと現代パートを行き来するが、現代パートの主要人物である女性社長(宮本信子)の正体はなかなか明かされなかった。ネット上では、この女性の正体についてずっと考察が続いていたのだが……。 「今作では、しっかりサスペンス要素も入れ込んで、この謎で前半を引っ張りました。しかし、第5話でその正体が判明したので、考察班の興味もそこで尽きてしまったのかもしれません。 ただ、現代パートの主人公・玲央は誰の子なのか、炭鉱閉鎖で(過去パートの主人公)鉄平に何が起きたのかなど、まだ解明されていない謎も多々あるので、物語の展開はすごくうまいと思う。 数字や記録より、記憶に残るかどうかで判断してほしいところです。……ということで、視聴率に関係なく私は楽しんで観ているので、理由の追及が甘くなってしまいます(笑)」 令和の時代に、自宅のテレビオンリーの視聴率で一喜一憂しても仕方ない。ドラマの出来はいいのだから、堂々と最後まで描ききってもらいたい――。
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