サウジアラビア、オーストラリアとのW杯最終予選2連戦を前に、セルジオ越後「『絶対に負けられない』のは相手側。日本は余裕を持って臨めるね」
前半戦のヤマ場だ。日本はすでに得失点差でかなり優位に立っているし、2連勝すればW杯本大会出場となるグループ2位以上はほぼ決まり。そうなると、残り試合を「絶対に負けられない戦い」とは言えなくなって興行的にはどうかと思うけど(笑)、スッキリ勝ってくれるといいね。 2026年北中米W杯のアジア最終予選のサウジアラビア(アウェー)、オーストラリア(ホーム)との2連戦が迫ってきた。 日本は9月の2連戦で大勝しているので(ホームの中国戦で〇7-0、アウェーのバーレーン戦で〇5-0)、精神的に余裕を持って臨めるのは大きい。初戦に負けた前回カタールW杯の最終予選とは大違いだ。 一方、サウジとオーストラリアは9月の2試合で勝ち点を落としているので、共に日本戦は「絶対に負けられない戦い」となる。 サウジは初戦のインドネシア戦(ホーム)に引き分け、続く中国戦(アウェー)も先制点を奪われながらの逆転勝ち。苦しいスタートとなった。 ただ、試合内容を見れば、ちょっとアンラッキーだった。インドネシア戦ではボールを支配して攻め続けた。勝てなかったのが不思議なくらい。相手がよく守ったね。 また、中国戦もセットプレーからのオウンゴールで先制点を奪われ、その直後に退場者を出しながらも、どちらがひとり少ないのかわからないくらい攻めて逆転した。ある意味、強い勝ち方だった。 ボール際の激しさだけでなく、技術もある。ほかの中東勢のように、ただ守ってカウンターというサッカーではない。パスをつなげて、ドリブルでの仕掛けもできる。ちょっと南米っぽい感じ。サイズがあるのでセットプレーも強い。 サウジは34年W杯招致に向け、国を挙げて強化に力を入れている。ここで本大会出場を逃すわけにはいかないし、日本に勝てば順位も入れ替わる。ホームの大声援をバックに前半から飛ばしてくるだろう。 そういう相手に対して日本はどれだけ冷静にプレーできるか。ポイントは守備だね。前がかりで来る相手に対して、下がりすぎずに前線、中盤でしっかりプレスをかけられるか。FWには運動量の多い前田を起用するのもアリだと思う。 オーストラリアは初戦のバーレーン戦(ホーム)を落とし、インドネシア戦(アウェー)も引き分け。監督交代となった。彼らにとってこの10月の2連戦は、早くも迎えた正念場だ。 ただ、率直に言って、日本とサウジより力は落ちる。丁寧にパスをつなぐと言えば聞こえはいいけど、中盤から後ろでゆっくりとボールを回している時間が長く、攻撃に迫力がない。昔の悪いときの日本代表みたいな感じだ。 新監督の下、ロングボールをどんどん放り込むサッカーに変えてきたら日本も苦労するのではという声もあるけど、僕はそれほど心配していない。 確かに、以前の日本はそうしたサッカーに苦しめられた。でも、今のオーストラリアにケーヒルはいない。両チーム共に以前とは選手の質が違う。日本が普通にプレーすれば、普通に勝てる。怖がるような相手ではないよ。 冒頭で言ったように、理想は2連勝。ただし、アウェーのサウジ戦は引き分けでも十分。オーストラリアにはしっかり勝ちたいね。 構成/渡辺達也