「再審請求中の死刑執行停止は国際基準」 国際人権学者が法廷で証言
再審請求中の死刑執行で弁護権を侵害されたとして、元死刑囚の弁護人を務めた3人が国に賠償を求めた訴訟の口頭弁論が27日、大阪地裁（大森直哉裁判長）であった。原告側の請求で国際人権法学者の北村泰三・中央大名誉教授が証人出廷し、「国際条約は再審請求中の死刑執行停止を求めている。日本を含む締約国はこれを尊重しなければならない」と話した。 【写真】大阪地裁・高裁が入る庁舎=大阪市北区 日本も批准する国際人権規約は、死刑囚の刑の減免を求める権利を規定し、国連の委員会は運用について「その手続き中は死刑を執行してはならない」と説明している。 国側はこの規定について「特赦や減刑」の場面と主張しているが、北村教授は「特赦と減刑は例示に過ぎない」と指摘。規定の趣旨や目的を踏まえれば、「誤った裁判によって死刑が執行されない権利を保障している」と述べ、再審請求も含まれるとした。 さらに「国際法規の誠実な順守が必要」と定める憲法などを挙げ、日本は国際条約を「尊重する義務がある」と説明。「再審請求中の死刑執行停止は国際社会の最低基準であり、規約を誠実に解釈して適用すべきだ」と呼びかけた。 国側は、同条約の規定に再審請求が含まれるとしても「条約に拘束力はなく、応じなくても違法とはいえない」と反論している。（山本逸生）
朝日新聞社
