資生堂「厳しい現状を踏まえた」2カ年計画を発表 ブランドの撤退・縮小も視野に
カテゴリーはサンケアとフレグランスを戦略的に強化。これらを含め、ブランド力強化として、24年から2カ年累積で300億円のマーケティング投資を追加していく。一方で、収益性や成長性も鑑みて、戦略的なブランドの撤退・縮小などの検討も進める。
24年度時点で、全体の売り上げに対する“コア3”と“ネクスト5”の構成比は7割を超える。重点的な投資を通して、26年末時点で全体の8割以上を割り当てる形を目指す。“コア3”と“ネクスト5”は平均を上回るブランドマージンを有するため、集中投資によって成長加速を図り、全社的なブランドミックスによる利益率の改善にもつながる。ブランド認知をより先鋭化するため、競争優位の源泉である技術力と研究開発力をダイレクトにブランド価値へ転換することに重点を置く。
聖域なきコスト構造改革で「高収益構造の確立」目指す
最優先課題の二つ目である「高収益構造の確立」は、グローバルでの固定費の低減、日本・米州・欧州・アジアパシフィックの収益性のさらなる改善、中国とトラベルリテールの事業基盤再構築を指す。「グローバルで聖域なきコスト構造改革」を実行し、24年と25年は、日本と中国を中心に400億円越えのコストカットを目指す。26年は米州と生産部門における原価低減を含むグローバル本社を中心に実施し、250億円のコストカットを実行する。原価やマーケティング投資の削減に取り組むが、半分以上は人件費、その他経費が占める予定だ。
これらを実施し、26年は、原価が24年度比2%減の22%、マーケティング投資が同1%増の29%、ブランド・研究開発投資が並の4%、人件費と経費が同2%減の38%、コア営業利益率は2倍の7%を見込む。
中国市場については「中国市場は中長期的に見れば巨大な消費市場であることは間違いない。アジア人の肌のエキスパートである当社が中国で提供できる新しい価値はまだまだたくさんある」と話す。ニーズの多様化を捉えたポートフォリオ戦略、消費者・市場変化の即応する組織能力強化、ブランド価値の最大化に注力する。これらの取り組みの結果、26年の地域別売上高構成は日本、米州、欧州、アジアパックの構成比が引きあがることを予測する。