リアルサウンド連載「From Editors」第85回:『No No Girls』の行方が気になって仕方ない!
「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。 【写真】『No No Girls』、佳境の5次審査でパフォーマンスする候補生たち 第85回は、特撮とメタルが好きな信太が担当します。 『No No Girls』、刺さりまくった名パフォーマンス&ちゃんみなの言葉 最近、めちゃくちゃテンションが上がった瞬間はいつでしょうか。 個人的にはやはり、Oasisの再結成&来日公演決定! これはいわずもがな最高にポジティブな大事件でした。駆け込みで行った 『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』(六本木ミュージアム)も素晴らしい内容で、歴代曲の貴重な手書き歌詞、ツアービジュアルやOasisロゴの変遷、ノエル・ギャラガーが使ってきた数々のギターや、いしわたり淳治氏が再構築した新たな訳詞まで、見どころ満載。ギャラガー兄弟へのメッセージもしっかりと書き残してきました。来場者も中高生からOasisリアルタイム勢まで幅広い世代にわたっているのが印象的で、もう、展示の魅力を一つひとつ猛烈に語りたい気分なのですが、開催期間が終了してしまったので今回はここまで。この熱量は再結成ツアーにぶつけましょう。 そんなOasisフリークな筆者が、今もっとも気になっていること。それは“No No Girls”たちの行方です。 『No No Girls』は、BMSGがちゃんみなをプロデューサーに迎えて開催中のガールズグループオーディション。HuluとYouTubeにてその模様が毎週配信されており、回を重ねるごとにますます反響が高まっている印象です。グループオーディション戦国時代の中、『No No Girls』では「No FAKE -本物であれ-」「No LAZE -誰よりも一生懸命であれ-」「No HATE -自分に中指を立てるな-」という3つの「No」を掲げながら、候補生たちがレッスン&審査を通してパフォーマンス力を磨いていきます。 パフォーマンス力を磨いていくと書きましたが、プロとしてステージに立つためには何をしなければいけないのか……「精神面を鍛える」とか「基礎体力をつける」とか「いろんなエンタメに触れる」とか、素人の筆者にもなんとなく思い浮かぶものはありますが、名プロデューサー ちゃんみなはそれらの要素を解像度の高い言葉で候補生たちに伝えていきます。 自分らしさを表現すること、そのために必要なスキルをしっかり掴むこと。そこに向かって、よかった部分もよくなかった部分も臆せず伝えつつ、核心的なことはあえて“届けすぎない”ように言葉を選びます。その分、候補生の陰の努力や表現したいことがしっかりと伝わってきた時には「伝わりました」と讃えている姿も素敵で、そういった候補生たちとちゃんみなの妥協なく伝え合う姿勢、そこから垣間見えるプロとしての覚悟が問われる瞬間に、強く心を突き動かされるのです。 ちゃんみなの言葉で響いたものをあえて1つ選ぶとすれば、「Ep.08 / 4th Round -Yes Yes Girls-」審査結果発表時の「自由なことをするためには型にはまらなきゃいけない」。これは“音楽”とか“パフォーマンス”の次元を飛び越えた言葉ですね。10代ではもしかすると気づけないかもしれない、けど大人になった時にその大切さが身に染みてわかるようなことを、ちゃんみなが的確に言語化して伝えていたシーンが刺さりました(と言いつつ、ちゃんみなは筆者よりも年下の26歳……驚異の指導力に痺れます)。 そして何よりも気になるのが、候補生たちのパフォーマンスの成長。最新回「Ep.11 / 5th Round -I am a tiger-」では5次審査の前半まで結果発表がなされましたが、2チーム14名による課題曲「Tiger」「NG」のステージは甲乙つけ難いほどに素晴らしいものでした。 これまでを振り返っても、CHIKAやKOKOやKOKONAのパワフルさ際立つ「BLACK DIAMOND」(3次審査)、ラップへの切り替えでミラクルを起こしたMAHINAの「UCHIRA」(3.5次審査)、ASHA、CHIKA、MAHINAによる三者三様の最強リリックが光った「GET OUT」(4次審査)、パンチライン満載な上にJISOO、MOMOKA、STELLAの歌声がバランスよく混ざり合う「1,2,3」(4次審査)、繊細さの中でFUMINO、NAOKO、SAYAKAの豊かな表現力を堪能できる「B」(4次審査)……など、夢中で見返してしまうパフォーマンスが多数。審査が進むたびに涙なしには見られませんが、ここまで披露されてきた楽曲はどれも、2024年の名ステージとして筆者の心に残りそうです。 年明け、Kアリーナ横浜での最終審査に向けてオーディションはいよいよ佳境へ。No No Girlsたちの未来を逃さずに見守りたいと思います。
信太卓実