学校でフェイスシールド必要なのか? 「明らかに過剰」「障害ある子どもに配慮を」【#コロナとどう暮らす】
難聴の子どもはどうする?
一方、口元が見えるフェイスシールドでないと困る、という子どもたちがいることを指摘する専門家もいる。 難聴の子どもは、聞こえづらいところを、口元の動きを読むことで補い、相手の語っていることを理解しようとしている。 大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学助教の前田陽平さんは、こう指摘する。 「難聴の方で、音声のみでのコミュニケーションが難しい方の場合、口元や表情を見て会話します。実際の患者さんに聞いてみても、皆がマスクをしている状況はつらいと聞きます。お子さんについても本質的な問題は同じということになると思います」 そして、相手がフェイスシールドであれば、難聴の子どもについてはコミュニケーションしやすくなると言う。 「少なくとも難聴の子どものいるクラスの先生はフェイスシールドで授業をして頂けると難聴の子どもは助かるのではないかと思います。クラスの他の子どもたちをどうするかというのはなかなか難しい問題で、コミュニケーションという点のみでいえばフェイスシールドあり、マスクなし、になるのでしょうけれども、現実的には難しそうです」
透明なマスクを導入する取り組みも
感染症対策コンサルタントの堀成美さんは、医療通訳のオンライン講座を開いているが、聴覚障害の人たちにも参加してもらっている。その時に気づいたことから、透明なマスクを購入した。 「オンラインコースを設けていたので、口の動きを見て得る情報も必要な聴覚障害の人たちは、講師の顔がアップになり口の動きが見えるのが学習上よいのだと言われたのです。この気づきから、透明マスクを使ったりとコミュニケーションの選択肢を増やしました」 透明マスクでも飛沫は飛ばず、音声はききとりやすく、口の動きもわかる。ただ、フェイスシールドの方が手に入れやすいため、広い目的に対応できることを考えれば、フェイスシールドが適するとも堀さんは考える。 「熱中症リスク、楽器の練習など、状況が環境によって選べるようにしておいてもいいのではないでしょうか? 着眼点も関心も、使おうとする場面も異なります。どのような状況で使おうとしているのかを聞くと、なるほどと思うこともよくあります」 医療者として感染対策に取り組んできた堀さんも、対策を決める時に、医療や医学だけの視点から決めていいのかと問いかける。 「フェイスシールドも常時つける必要もないし、マスクと併用する必要もありません。使おうとする人たちの考えや意見、単なる誤解での過剰対応なのか、他がやっていないことをあえてやるのはなぜかを確認しないと、科学や合理性だけで決めてしまうことになりますが、それでいいのでしょうか? 」 「使っても意味がない・ダメと選択肢そのものを奪わない方がいいのでは?」