ジミー・バトラーがレブロン・ジェームズとのエース対決、崖っぷちのヒートが混戦を制してNBAファイナル2勝目
終盤まで続く大接戦、レイカーズは一つのミスが命取りに
構成=鈴木健一郎 写真=Getty Images レイカーズが3勝1敗と優勝に王手をかけたNBAファイナル第5戦。終盤の勝負どころで両チームとも真価を発揮するも、1ポゼッション差の大混戦を制したのはヒートだった。 両チームともシュートタッチが好調で、激しいディフェンスをかわして良いペースで得点を重ねていく。最初に流れを引き寄せたのはレイカーズで、アンソニー・デイビスとレブロン・ジェームズのプレッシャーが効いてヒートのゴール下でのシュートを落とさせてリードを奪うが、セカンドユニットのケンドリック・ナンとアンドレ・イグダーラが違いを作り出しヒートが点差を詰める。 しかし第1クォーター残り1分、デイビスがリバウンド争いの着地で、以前からケガしていた踵を痛めてしまい、しばらく様子を見た後にコートに戻って来たものの、本来の爆発的なパフォーマンスは見せられず。走れてはいても跳ぶプレーは控えており、プレーは続けられてもケガが軽いものでなかったのは明らかだった。 それでも『相棒』の奮闘に触発されたのがレブロン・ジェームズだった。ディフェンスで身体を張るとともに3ポイントシュートを次々と決めて、ヒートに傾きそうな流れを引き戻し、互角の攻防が続いていく。 第3クォーターにはタイラー・ヒーローやダンカン・ロビンソンを中心にアウトサイドシュートが当たったヒートが抜けだすも、第3クォーター終盤からレイカーズが粘りのディフェンスを披露。ボールと選手がよく動くヒートの攻めに対して粘り強く対応してシュートコースを空けさせず、ターンオーバーを誘っては速攻に繋いで第4クォーター序盤には15-3のランで猛追。残り6分にはすでに30得点超えのレブロンのアタックでディフェンスを引き付け、キックアウトからケンテイビアス・コルドウェル・ポープの3ポイントシュートで逆転に成功する。 リードチェンジを繰り返した終盤は、自然とボールがジミー・バトラー、レブロンの2人に集まるように。勝負どころを託された両エースは高確率で得点を重ねていく。残り21秒、レブロンからパスを受けたコルドウェル・ポープの3ポイントシュートが外れるも、これを抑えたデイビスがゴール下でねじ込んでレイカーズが108-107と逆転に成功する。土壇場でレブロンと並ぶ得点源であるデイビスが存在感を見せたことで、レイカーズが1点ではあるが価値あるリードを手にした。 しかしヒートはあきらめない。バトラーがレブロンをドライブでかわしてスピードアップ。シュートを打たせまいとカバーに入ったデイビスにも臆さずアタックしてファウルをもぎ取る。ここまでフリースロー10本すべてを決めていたバトラーは、この勝負どころでも2本を確実に決め、ヒートが再逆転した。 残り16.8秒、レイカーズは最後のタイムアウトを使って逆転を狙う。ドライブするレブロンが3人のディフェンスを引き付けたところでアウトサイドで待つダニー・グリーンへボールを託す。だが、逆サイドから走ったイグダーラのシュートチェックが効いてシュートは決まらず。マーキーフ・モリスがオフェンスリバウンドを抑えたのだが、再び外から狙おうとするグリーン、最後は自分で決めようとするレブロンのパス要求に答えず、ゴール下のデイビスへとパスを送るが、この呼吸が合わずにターンオーバーに。デイビスはバム・アデバヨに密着マークされており、パスを受ける準備ができていなかった。 残り2.2秒からのファウルゲームを危なげなく乗り切ったヒートが、111-108で大混戦を制している。 デイビスが万全でなかった分まで奮闘したレブロンは40得点13リバウンド7アシスト3スティールというパフォーマンスを披露するも勝利には届かず。エース対決を制したバトラーは第1クォーター最後の1分弱をベンチで過ごしただけでほぼフル出場。35得点12リバウンド11アシスト5スティールというスタッツを残した。 それでも彼は試合後に「いつも通り相手を止めて、点を取るだけだった。運も味方してくれた。最後にダニー・グリーンのシュートが外れたのは運だと思う」と謙虚な姿勢を崩さなかった。第6戦は中1日の休養を挟んで行われる。
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