2021年は「あざとさ」疲れ? 仲里依紗ら芸能人YouTuberの勝ち筋は「ズボラさ」か
さまざまな芸能人がYouTubeに参入した2020年。中でも仲里依紗さんは大成功だったと言えるだろう。4月に開設後、登録者数は今105万人に上る。世間の流行り言葉は「あざとい」だったが、対極にある「自然体」、もっといえば「ズボラさ」が魅力のカギだったのではないか。同じ女優YouTuberといえば本田翼さんも大人気だが、本人が全く映らずゲーム実況していたり、浪人生みたいな部屋で喋っていたり、およそオシャレな女優さんぽくない雰囲気だったのと通じるものがある。
仲さんの「ズボラさ」はすごい。スッピンをさらすこともいとわず、突然歌い出したり、お菓子をボリボリ食べだしたり。夕飯は適当に作ろうと思っていたのに、夫の急な予定変更があってそういうわけにもいかないとソファで愚痴っている動画は130万回超え。といっても撮影も編集も自分でこなし、更新もハイペース。仕事としてきっちり続ける真面目さと、明るくサービス精神あふれる性格がよく伝わってくる。 これまで正直、仲さんにこれといった印象はなかった。知っていたのは映画「ゼブラーマン」で露出度の高い衣装を着ていたな、というのと、浅野忠信さんと付き合っていたと思ったら中尾明慶さんと突然できちゃった婚したな、くらいの薄い知識だけだ。なので、YouTubeで見るハイテンションな姿には少しびっくりしてしまった。 けれどもそれが、彼女の狙いなのだろう。理想の夫婦にランクインし、今や7歳児のママ。ドラマにも引っ張りだこと、仕事も私生活もソツなくこなす「ザ・女優」な見せ方もできる。元はスポーツブランドのアンバサダーとして、トレーニング動画も配信していた。けれども、ゆるい姿や弱音を隠さない。極彩色のロックTシャツや、緑に染めた髪など、ファッションも実に自由。母親だから、女優だからちゃんとしないと、という先入観を拒絶するかのようなスタイルだ。かといって、アンチ良妻賢母ということでもない。夫が注文をつけることはないけれど、彼に出す料理はちゃんとしないと自分の変なプライドが許さないんだよねーと何度か語っていた。でも作るの面倒くさい、夫がいない日はなまけちゃうとこぼす。共感する女性は多いことだろう。 最近は演技派としても名高い仲さんのこと、男性だけでなく世間が望む姿を装うことなんて、その気になればお手の物のはず。でも自然体を貫く彼女のYouTubeは、コロナ禍という世相もふまえ、とても今っぽいのではないだろうか。