Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

闇サイト殺人事件 残虐な犯行に対する「死刑判決」はなぜ覆ったのか

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
文春オンライン

第一審では厳罰な処置が検討された

 第1審判決では、見ず知らずの者同士が虚勢をはったり、悪知恵を出し合うなどして互いの力を利用しあうことで、1人ではできない犯罪が遂行できるようになり、犯罪の凶悪化、巧妙化に繋がる危険性が高いと指摘しました。そして、今回の事件はまさに、犯罪の凶悪化・巧妙化に繋がる危険性が現実化した事件であると判断したのです。  さらに、相互に素性を知らない匿名性の強い集団であるために、犯行グループが解消され、お互いに連絡手段を絶ってしまえば、犯人を発見し、逮捕することは極めて困難になることが予想されます。第1審ではこうした事態を考慮して、判決で「犯罪が模倣されるおそれも高く、社会の安全に与える影響も大きく、今後同様の犯罪の発生を防止するためにも、他の強盗殺人事件に比べて厳罰をもって臨む必要がある」ことが強調されました。

「犯罪傾向が進んでいない」というための不可思議な論理展開

 これに対して、第2審判決では、おおむね次の点を指摘しました。 (1)見ず知らずの者同士の犯行の場合には、意思疎通の不十分さから計画も不十分となり、犯行が失敗に終わりやすい面があること (2)今回の事件でも利恵さんが、富美子さんのために必死に預金を守ろうとして真実とは異なる暗証番号を伝えた結果、犯人らが奪ったキャッシュカードでの預金の払戻しに失敗するなど、犯行がさほど巧妙ではなかったこと (3)素性を知らない者同士ゆえに結束力の乏しさから早期の検挙にも繋がったこと  さらには、第1審で挙げられた「インターネットを通じて集まった素性を知らない者同士が短期間で犯罪を計画遂行する場合に、お互いに虚勢を張り合うなどして、犯罪が凶悪化しやすい」点については、「そのような状況であるがゆえに、犯罪傾向が進んでおらず矯正可能性がある者であっても今回のような罪を犯しかねない」と指摘したのです。  そして、あろうことか、殺害の態様が残虐になったのは、利恵さんが簡単に絶命しなかったためであるという驚くべき判断をしたのでした。  つまり、2審の判決は、被告人らは犯罪傾向が進んでおらず、矯正可能性もある者であり、この凶悪犯罪が起こった原因は、犯行当時の状況によるものだと言っているに等しいのです。

【関連記事】