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闇サイト殺人事件 残虐な犯行に対する「死刑判決」はなぜ覆ったのか

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文春オンライン

遺族の思いは退けられた

 そして、その富美子さんの思いに多くの方々が賛同し、最終的には33万2806筆もの署名が集まりました。それらの署名は刑事裁判の中でも証拠として提出がなされ、裁判官にも届けられました。  2009年3月の第1審の地方裁判所では、自首をした被告人のみ無期懲役、他の2人の被告人には死刑の判決が下されました。その後、3人は控訴しましたが、死刑判決を受けていた被告人のうちの1人は、自ら控訴を取り下げたことにより死刑が確定しました。  その結果、第2審の高等裁判所では自首をした被告人ともう1人のみについて裁判が続けられることになったのですが、ここで第1審の判決が覆されてしまいます。  第2審の判決では、自首をした犯人だけでなく、もう1人の犯人もまた「犯罪傾向は進んでいない」「被害者は1名である」などを理由として無期懲役の判決が言い渡されました。  そして、最終的に最高裁判所にて2012年7月に無期懲役が確定しました。

同じ死刑基準でも結論に大きな差

 今回の事件では、第1審・第2審ともに判決の中で、死刑適用の判断にあたって、いわゆる「永山基準」と同様の基準を用いることが明言されていました。ここで言う、死刑基準とは次のことを指します。 「犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない」  このなかに出てくる「一般予防」とは、罪を犯した者を処罰することで、世間一般に警告して再び犯罪が発生しないよう戒める、いわゆる「見せしめ」的な考え方を指します。  このように第1審・第2審ともに、同じ死刑基準を採用すると明言していたにもかかわらず、結論に大きな差が生まれた理由は、「インターネットを通じて短期間の間に残虐な凶悪犯罪を計画して遂行した」という今回の事件の特徴的・象徴的な部分についての評価や、被害者数が1名であることについての評価について、第1審と第2審で考え方が分かれたことに大きな原因があるように思われます。  まず、インターネットを通じて知り合った犯行グループによる犯罪という今回の事件の特徴的・象徴的な部分について見ていきたいと思います。

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