FRB利上げ以降、冷え込む世界経済 先行き12カ月のマーケット予想は?
日本株はどうなる?
次に日本株です。16年入り後のUSD/JPY下落を主因にアナリストの予想EPSはすでに下向きのカーブを描き始めており、今後も反転増益が見込めないため、予想を引き下げます。もっとも、前回の減益局面の入り口にあたる07年後半と比較した場合、今回の業績悪化はマイルドになると判断され、その分、株価も粘り強さが期待できます。また、世界的な低金利の下、株式の相対的な魅力が高まっていることもサポート要因です。
USD/JPYが100に下落するとの予想を前提にした場合、12年以降の両者の関係から導出される日経平均のレベルは1万4000円です。1万5000円というレベルはやや楽観的な印象を受けるかもしれません。
ちなみに6月16日のUSD/JPY104、日経平均1万5434円という組み合わせも近似線の上方に位置しているので、従来の関係を基にすると、日経平均が出来過ぎているということになります。ただし、筆者は以下の理由により、日本株がUSD/JPYの下落にある程度、持ち堪える展開が続くと考えています(現在の近似線より上方に位置する展開)。
その根拠の一つとして、配当利回りに着目した資金流入が期待できます。この間、米10年金利が昨年末時点の2.3%から一時1.6%へと水準を切り下げ、日本とドイツの10年金利がマイナス圏に沈むのをよそにTOPIXの予想配当利回りは年初来2.3%~2.7%で推移してきました。 格段に高い水準とは言えませんが、2%前半の配当利回りは、その相対的な魅力が高まっていると言えるでしょう。別の視点で2%前半がいかに“高利回り”であるかを付け加えておきます。
投資家が2%台前半の利回りを確保する必要がある場合、米債であれば30年債までデュレーション(債券の残存期間)を拡大する必要があり、10年債で信用リスクをとるならばイタリア、スペイン(1%台後半)では足らず、タイ、マレーシア、ポーランド、ポルトガル(2%~3.5%程度)まで触手を伸ばす必要があります。