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今こそ救いの手を!多くの人の憩いの場となってきた、「個人経営のカフェ」への支援が必要なワケ

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ハーパーズ バザー・オンライン

T・S・エリオットの詩集『The Love Song of J. Alfred Prufrock』では、人生をコーヒースプーンで測った。ちなみに、私は自分の人生をコーヒーに使ったお金で測っている。銀行口座から流れ出ていくお金は、私にはお気に入りのカフェがロンドン中にあることを思い出させてくれる。 【写真】あれもこれもオンライン? 今後の新しい12の生活スタイル 道に迷った時や寒い時、落ち込んだ時や疲れた時、人は近くにコーヒーショップを探す。チェーン店以外の店を見つけてみよう。わかりやすい場所にはなかったり、狭い裏通りの奥にあって見つけるのはほぼ不可能だったり、個人経営のコーヒーショップは、いつも両手を広げて暖かく迎え入れてくれる遠い親戚のようであり、雨に降られた後で見る自分の家の玄関のようでもある。 コーヒーショップに入ると、アラジンの洞窟に迷い込んだような気分になる。入った途端に襲ってくる、ひきたてのコーヒー豆のいい香り。深く、ナッツのような、チョコレートのような、フルーティな、シャープな香りが全て一挙に押し寄せてくる。人のざわめきや話し声が絶えず背後に聞こえるほうが、静寂より生産性があがるという逆説的な効果もある。コーヒーをひと口を飲む前から、すでにそうなのだ。

今年は、世界でもっとも長く続いているコーヒーショップの開店300周年にあたる。1720年、ベニスのサンマルコ広場にあるカフェ・フローリアンがオープン。カサノヴァからプルースト、モネ、ウォーホルまであらゆる人々がきらびやかな店に惹きつけられ、コーヒーを口にした。私は、高級クラブの一室のような壁に囲まれ、“偉大な亡霊“たちとともにエスプレッソを飲む。 ロンドンでは18世紀初頭にコーヒーシーンが栄え、それがイギリス初の雑誌出版のきっかけになり、ジョセフ・アディソンとリチャード・スティールが『The Spectator 』や『The Guardian』、『The Tatler』を創刊し1ペニーで売り始めた。市内のコーヒーハウスのテーブルは印刷物やニュースレター、本などで埋め尽くされ、“ペニー・ユニバーシティ“と呼ばれるようになったほどだった。

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