45歳で5,000万円の家を「住宅ローン」で購入→20年後・65歳時の「ローン残高」に悲鳴…“マイホーム希望”なら「早く買った方がいい」ワケ【CFPの忠告】
大手銀行の住宅ローンの固定金利が10年ぶりに上昇し、住宅購入やローン返済に不安を抱いている人が増えています。住宅ローン相談実績25年・5,500件超の実務家FPとして活躍する平井美穂氏が、著書『金利上昇でもあわてない 住宅ローンの超常識』(河出書房新社)から、住宅ローンの正しい知識をわかりやすく解説します。今回は、現在の金利上昇局面で住宅ローンを組んで家を買うべきか否かの判断の基準をお伝えします。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
「いつか買う」なら早く買ったほうが後がラク。でも、不用意な「買い急ぎ」はご注意を
大規模金融緩和が始まった2013年から2023年までの10年間、株価と連動するように都心周辺のマンション価格が上昇を続けました([図表1]参照)。 日経平均株価の動きをチャートで見ると、2021年をピークに下げに転じ、その後高止まりしています。 一方で、一都三県のマンション価格は2022年以降も上昇を続けていますが、今後本格的なリセッション(景気後退)に入り株価が下落すると、不動産価格も下がるのでは、と心配する人もいます。 実際のところ、金利も株価も不動産の価格も、将来どうなるかは誰にもわかりません。 不動産価格がこの先確実に下がるという確証がないなかで、安くなるかもしれないという淡い期待で購入を先送りにするのは、貴重な現役時代の資産形成期を無駄に過ごしてしまう機会損失につながります。 いまの日本の住宅ローンはなぜか最終返済時の年齢が80歳になるまで組めてしまいます。住宅ローンの返済期間は最長35年なので、逆算すると45歳までの人が35年ローンを組める計算です。 しかし、現実には65歳以降年金暮らしが始まると、ほとんどの人が年金では生活費が足りず、貯蓄を毎月5万円ほど切り崩しているというデータがあります。 他方で、総務省が調べたデータによると、年金暮らしをしている老後夫婦のおよそ9割が自宅を持っていてローンの返済も終わっています。それでも、生活費が年金では足りないという状況です。 つまり、65歳以降も就労収入や家賃収入などがない限り、年金収入だけでローンの返済を続けるのは困難です。 途中で繰り上げ返済をするか、完済資金を手元に貯めておいて65歳時に一括返済するなど、年金暮らしが始まるまでに完済の目途を立てる必要があります。
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