「介護離職」を避けるために、はたらく世代が知っておきたい4つの制度
みなさんは、家族に介護が必要となったとき、今の仕事と両立することはできますか? 多くの人は、NOと答えるのではないでしょうか。 「働き続けるにしても、今のままの勤務体制では厳しい」このように感じる人も多いはずです。 介護をするために仕事を辞めることを「介護離職」といいます。これを防ぐためにも、事前の対策や、使える制度を知っておくことはとてもたいせつです。 そこで今回は、介護離職の現状や、介護を理由として離職を決めてしまう前にぜひ知っておいていただきたい制度をご紹介します。そして、はたらき続けるために、一人一人ができることについても考えていきましょう。
「介護で仕事を辞める人」年間9万人以上
総務省の「就業構造基本調査」(2017年)によると、過去1年間で「介護・看護のため」に前職を離職した人は約9万9000人にも及ぶことがわかりました。 内訳をみると、男性が約2万4000人であるのに対して、女性が約7万5000人と、男女で3倍の差ついていることも判明しました。 「介護離職ゼロ」を目指す、国の制度 2015年(平成27年)、安倍前首相が、アベノミクスの第2ステージへの移行を宣言した際、「介護離職ゼロ」を目標の1つとして掲げました。(※1)(※2) 「介護サービス基盤の確保」や「介護人材の確保」、「介護する家族の相談機能強化・支援体制の充実」「介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備」などを具体例として挙げたのです。 これらを踏まえ、知っておくと役に立つ、国がおこなっている対策や制度を見ていきましょう。 ※2015年以降「育児・介護休業法などが改正」、2021年1月にも改正予定(※3)(※4)
はたらく人が知っておきたい、4つの制度
ここからは厚生労働省の資料(※5)をもとに、ぜひ活用していただきたい国の制度をご紹介していきます。 (1)介護休業制度 休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申し出をすることで、対象家族(要介護者)1人につき3回まで、通算93日を上限に休業できます。 休業中の経済的支援として、一定の要件を満たす人には、介護休業給付金(賃金の67%相当)が最大93日分支給されます。 (2)介護休暇制度 対象家族(要介護者)1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)まで休暇を取得できます。 通院の付き添いや、ケアマネジャーなどとの短時間の打ち合わせにも活用可能です。休暇日は、企業によって賃金の何%かを支給してもらえる場合もありますが、給付金などがないため、有給休暇を使用した方が得な場合もあります。 (3)所定外・時間外労働・深夜業の制限 月24時間、年150時間を超える時間外労働を制限したり、深夜業(午後10時~午前5時まで)を制限したりする仕組みです。 定められた時間内での労働や、早い時間での終業が可能となるため、介護への参加がしやすくなるでしょう。 (4)短時間勤務の措置等 介護休業とは別に、以下の4つを3年間で2回以上利用できます。 事業主には、1~4のいずれかの措置を選択して講じることが義務づけられています。 1.短時間勤務制度 2.フレックスタイム制 3.始業・終業時間の繰上げ・繰下げ 4.介護費用の援助措置