スポーツが上達する子の共通点とは? 子どもに「勝たせたい」と思う大人が意識すべきこと
子どもにスポーツがうまくなったり成長したりしてほしいと思っている親御さんは多いでしょう。しかし、大人たちの「勝利至上主義」が、子どもたちに無理をさせたり、精神的に追い込んでしまったりすることも。 子どもの上達に大切な「もっとやりたい」気持ちを、指導者や保護者がサポートするにはどうしたらいいでしょうか。 臨床心理士の村中直人氏と、元女子バレーボール日本代表の大山加奈氏の対話を『「叱れば人は育つ」は幻想』から紹介します。 ※本稿は、村中直人著『「叱れば人は育つ」は幻想』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
上達の原動力になるのは「もっとやりたい」気持ち
【大山】スポーツって、最初はみんな「やりたい」と思って始めるわけですよね。ところが、部活などが典型ですが、いつのまにか「やらされる」状態になってしまっています。それがよくわかるのが、「明日は練習休みだよ」と言われて「やったー!」と喜ぶ子が多いことです。休みになるのがうれしいというのは、あまりやりたくないことをやらされているからですよね。そうではなくて、休みだと言われたら、「えーっ、やりたいのに」という反応が返ってくるような環境にしたいと私は思うんです。 ですから、バレー教室をやっていて、「じゃあ、これ、最後の練習ね」と言ったときに、「えーっ、もう終わり!?」「もっとやりたーい」という声が多く出ると、「よし!」という気持ちになります。楽しくて有意義な時間を提供できたかな、と思えるので。「もっと、もっと」という気持ちが湧くって大事ですよね。「もっとやりたい」という状況が、うまくなったり成長したりするための一番の力になりますから。
ワクワクしながら主体的にやりたくなる「冒険モード」
【村中】 「もっとやりたい」という意欲が湧く脳の状態を、私は「冒険モード」と呼んでいます。冒険モードは、脳からドーパミンが出ることで、ワクワクしながら主体的にやりたくなる状態です。探求心が湧いて「楽しい、面白い」と感じて取り組んでいるため、難しいことをやっていても苦しい表情にはなりません。人に「学び」や「成長」をもたらすのは、この冒険モードにあるときなんですよね。ですから、そういう状態にもっていけるのは、指導者としてはとても大切なことだと思います。 【大山】やっぱりそうなんですね、よかった、間違っていなかった!