広島「ハチの干潟」命のゆりかご 90年ぶり採取の生物やカブトガニなど340種紹介
広島県竹原市の賀茂川河口に広がる「ハチの干潟」(最大約22ヘクタール)と周辺の多様な生物を紹介する本を、広島大大学院の大塚攻(すすむ)教授(62)=海洋生物学=や近藤裕介特任助教(33)=同=たちが出版した。魚や鳥、節足動物などの約340種を各分野の専門家が解説し、写真も充実。「希少な動植物の営みを知って」と呼び掛けている。 書名は「ハチの干潟の生きものたち」。掲載種のうち70種以上が環境省のレッドリストで絶滅、準絶滅危惧種に指定されている。同干潟を代表する存在のカブトガニは脱皮を繰り返して成長し、5年ほどで深場に移り、産卵のため再び戻って来ると説明。県内で産卵か幼体が確認できたのは同干潟と江田島湾だけとし、保全対策を訴えている。 砂泥底に深く潜り、生きた状態での発見が難しいというイセシラガイは、同干潟で複数確認されたと紹介。体長が最大で約3メートルあるサナダユムシの本体が昨年、約90年ぶりに採集されたとの報告があったことも記している。 執筆した研究者たちは計50人。そのうち大塚教授と近藤特任助教、佐藤正典・鹿児島大名誉教授(底生生物学)が編集した。B5判カラー、170ページ。2970円。通販サイトのアマゾンで入手できる。メールt.tridentatus2020@gmail.com
中国新聞社