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機能しない雇用調整助成金 検討中の新方式は法律違反を後押し?

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THE PAGE

 休業手当を支払った企業に対して助成を行う雇用調整助成金が機能していないことから、政府が労働者に給付金を直接支給する新しい方式を検討していることが明らかとなりました。休業手当が支払われないという問題を回避することが期待できる反面、本来は企業の義務である休業手当を支払わない企業が増えると懸念する声も上がっています。

非正規労働者も給付の対象に

 雇用調整助成金は事業活動の縮小によって社員を休ませた場合、社員に支払う休業手当の一部を支援する制度で、コロナショックをきっかけに適用の条件が大幅に緩和されました。ところが、手続きがあまりにも煩雑であることや、オンライン申請に対応していなかったこと(5月20日より開始)、そもそも制度の存在を知らない企業が多かったといった理由から、手続きがスムーズに進まず、企業がなかなか支援金を受け取れないという状態が続いています。即座に支払いが行われたドイツやフランスとのあまりの差に愕然とした人も多いでしょう。  政府はこうした事態を打開するため、休業手当を支払う企業を支援するという方式ではなく、労働者に直接、給付金を支給する制度を創設する方向で調整を進めています。新しい制度では、休業を余儀なくされた労働者本人が、オンラインか郵送で直接申請できるようにします。この制度は雇用保険に入っていないアルバイトなどの非正規労働者も給付の対象にするとのことです。

おざなりにしてきた労働法制の遵守

 この制度がうまく機能すれば、多くの労働者が休業手当を受け取れるようになりますが、一部からは企業の法律違反を後押しするとの懸念の声が上がっています。休業手当は本来、企業側の義務であり、手当を支払わないということはあってはなりません。しかし、本人が直接、給付金を受け取れるということになると、最初から手当を払わず、給付金をもらうように指示する企業が増える可能性が指摘されています。加藤勝信厚生労働相は、休業手当の支払いは義務であるとして、安易に給付金を利用させないようにとクギを刺す発言を行いました。  今回の問題は、雇用調整助成金の支払いがスムーズに進んでいないという点では政府に責任がありますから、加藤氏の発言に不快感を持つ人が一定数存在するのはやむを得ないでしょう。一方で、法律で定められた休業手当を支払わない企業が多いというのもまた事実です。あまりにも厳しく企業を指導すると、経営が苦しくなるという意見が強く、政府も十分な行政指導を実施できなかったという経緯もあります。  日本では経済活動を優先するあまり労働法制の遵守をおざなりにしてきたわけですが、このような途上国的な制度の運用を続けてきたことも、助成金がうまく活用されていない理由のひとつです。こうした前時代的な制度の運用はいい加減、改めるべきでしょう。 (The Capital Tribune Japan)

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