約150万年前の“2つの足跡”、2種類の古代人類と発覚 同時に住んでいた可能性 国際チームが研究報告
米チャタム大学や米ラトガース大学などに所属する研究者らが発表した論文「Footprint evidence for locomotor diversity and shared habitats among early Pleistocene hominins」は、約150万年前にケニアのトゥルカナ湖畔で発見された足跡の化石から、異なる2種の古代人類が同じ時期に生活していた証拠が見つかった研究報告である。 【画像を見る】パラントロプス・ボイセイの個体によって作られたと推測される足跡(1/2)【全3枚】 現在のトゥルカナ湖となる場所の古代の湖岸で、ホモ・エレクトスとパラントロプス・ボイセイという2種類のホミニン(人類の系統に属する生物群)が、数時間以内に同じ場所を通過したことが明らかになった。 この発見の重要な点は、異なる人類種が同時期に同じ環境で生活していたことを直接的に証明した点にある。これまでも化石記録から両種の共存は推測されていたが、このように具体的な証拠が見つかったのは初めてだという。 研究チームは、最新の3D分析技術を駆使して足跡を詳細に調査。その結果、2種類の足跡には明確な解剖学的な違いがあり、それぞれの種に特有の歩行パターンが反映されていることが判明した。 両種はともに直立二足歩行が可能で高い身体能力を持っていたが、その後の運命は異なった。ホモ・エレクトスは現生人類の直接の祖先として100万年以上生存を続けたが、パラントロプス・ボイセイは数十万年後に絶滅した。 骨や歯などの体の化石は水や捕食者によって移動される可能性があるが、足跡などの生痕化石は形成された場所に固定されているため、高い証明力を持つ。 Source and Image Credits: Kevin G. Hatala et al. ,Footprint evidence for locomotor diversity and shared habitats among early Pleistocene hominins.Science386,1004-1010(2024).DOI:10.1126/science.ado5275 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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