厚生年金を「月額30万円」受給する〈高額受給者〉は何割いる?高額受給者の現役時代の平均年収も試算
「厚生年金で月額30万円の受給」と聞くと、現役世代の方には十分に思えるかもしれません。しかし、現在の日本経済を取り巻く状況を考えると、その金額でさえ老後の生活を十分に支えられるかどうか、疑問を抱く人も多いでしょう。物価の上昇、光熱費の高騰、さらには少子高齢化といった課題が、家計に影響を与え続けているからです。 ◆【一覧表】みんなの平均額はいくら?年金月額ごとの受給者数を見る 厚生年金は働き方や年収によって将来の受取額がかわります。老後の生活において一体いくらくらいの年金があれば安心できるかは各世帯によって異なりますので、ご自身の年金見込額は知っておいてもよいでしょう。 今回は、厚生年金にフォーカスして今一度年金制度について確認し、将来訪れる老後生活に向けて何をしていったらいいのか考えていきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度は「厚生年金と国民年金」の2階建て構造
「日本の公的年金制度は2階建て」と呼ばれますね。これは、年金のベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」という2つの年金制度から成り立つためです。 そして、働き方や立場により「国民年金のみに加入する人」と「国民年金と厚生年金の両方」加入する人に分かれます。次では「国民年金」と「厚生年金」それぞれの基本を確認していきます。 ●【1階部分】国民年金 1階部分に当たる国民年金の加入対象は、原則として日本に住む20歳から60歳未満の全ての人。職業や収入の有無などに関わらず、60歳に到達するまでの40年間(480カ月)国民年金保険料(※1)を納めます。 ただし、第2号被保険者は厚生年金保険料(後述)を納め、第3号被保険者は保険料の納付は不要です。よって、国民年金保険料を単独で納める必要があるのは、自営業などの第1号被保険者のみです。 40年間の全期間、保険料を納付した場合、老後は満額の国民年金(※2)を受け取ることができます。 ※1:国民年金保険料は年度ごとに改定され、2024年度は1万6980円(月額) ※2:国民年金の満額は、2024年度は6万8000円(月額) ●【2階部分】厚生年金(老齢厚生年金) 第2号被保険者は、2階部分である厚生年金にも加入します。そのため、老後に受給する年金も「国民年金(老齢基礎年金)+厚生年金」の2階建てです。 厚生年金の保険料は、給与や賞与などの報酬に応じて決まるため、個人差が大きくなります。 よって、国民年金と厚生年金では年金保険料や年金額を決めるしくみが異なるのです。そのため、1階部分の国民年金のみを受け取る場合と、2階部分の厚生年金を上乗せで受け取れる場合では、年金水準が変わります。 国民年金のみの加入者が「月額30万円以上」の年金収入を目指すことは不可能です。また、厚生年金の加入者であっても、老後の年金額は現役時代の収入により一人ひとり異なります。 次章で、今のシニア世代が受け取る厚生年金の月額データをのぞいてみましょう。