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コロナと通常診療、両立に苦悩 札幌圏は救急体制手薄/地方では200キロ搬送も 専門家「第3波へ備え必要」

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北海道新聞

 新型コロナウイルスを巡り、医療機関が感染者らの対応と通常診療の両立に苦悩している。札幌圏では重篤な救急患者の治療を担う「3次救急医療機関」の一部が新型ウイルスに専念したことなどが影響し、残りの病院で急患の受け入れが急増。地方都市では慢性的な医師不足も追い打ちをかけ、重症患者を長距離搬送せざるを得ない例もあった。専門家は「第3波に向け、医療態勢の包括的な交通整理が必要」と強調する。

受け入れ倍増

 「このまま患者が増え続ければ新型ウイルスの対応も通常診療も行き詰まる」。手稲渓仁会病院救命救急センター長の奈良理(さとし)さん(55)は危機感をにじませる。  札幌圏の救急医療体制は、症状の軽い方から初期、2次、3次救急に分かれる。同院は札幌圏に5カ所ある3次救急医療機関の一つ。第2波のピークとなった4月中旬から、5カ所のうち市立札幌病院と北海道医療センターが新型ウイルスの対応に専念し、残る3カ所で3次救急を担う状況が続いた。  この間、手稲渓仁会病院の救急センターで1日に受け入れる救急車は通常の約2倍の30台になり、他の診療科に要請して看護師を通常の1・5倍の約150人に増員した。新型ウイルス以外で運ばれ、後に感染が判明する例もあるため、現在も全患者に対し、スタッフは最大限の防護具を着用して対応しているという。  発熱や肺炎など、新型ウイルスの感染が疑われる患者の搬送が相次いだことも同院を悩ませた。奈良さんは「通常の重篤患者と同時並行で受け入れるのは非常に難しい。せめて疑いのある患者を受け入れる病院がもっとあれば…」と吐露する。

地方は危機的

 札幌市消防局の調査では、感染が拡大した3月から4月20日までに搬送先が20分以上決まらなかった事例が累計520件に上る。道医労連も5月の会見で、発熱などの症状がある患者の「たらい回し」が起きていると指摘。感染者や疑いのある患者らを受け入れる態勢の整備や財政的支援などを求める要請書を道に提出した。  市立士別病院では4月、農作業中の転落事故で緊急手術が必要と判断した患者の受け入れ先が見つからず、約200キロ先の稚内まで救急搬送する事態に直面した。院内に緊急手術を担える人員がおらず、旭川や名寄の計6病院に受け入れを要請したが、新型ウイルス患者の治療や別の手術を理由に全て断られたという。

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