【漫画家に聞く】祖父が遺した包丁が教えてくれたことーーものづくりの精神を伝える漫画『包丁』が話題
料理人を目指す少年と少し怖い祖父との関係を描いた短編漫画『包丁』が、2022年6月10日にTwitterで公開された。少年は大学では料理以外の勉強を専攻していたため、料理人を目指すことに親戚は疑問の声をあげる。そんななか祖父の遺品は少年にとあるメッセージを与えることとなる。 作者である浅山わかび氏(@wakabi44)は漫画家として活動する人物であり、現在は獣医の世界を描いた作品を連載している。本作を創作したきっかけや包丁を託したおじいさんの思いなど、話を聞いた。(あんどうまこと) ーーおじいさんの夢を追う姿が結果として晴翔くんに伝播した様子から様々なことを考えた作品でした。創作のきっかけを教えてください。 浅山わかび(以下、浅山):ものづくりを真剣にやっている姿を描きたくて本作を創作しました。むかしからものづくりに興味があり、高校では木工芸を学んでいました。以前は生きていた木が家具や工芸品に生まれ変わらせる体験をして、ものづくりの素敵さを感じました。 また自分の手でつくり上げると愛着を持てると感じています。その思いは本作のおじいちゃんの姿にも表れているのかなと思いますね。手作りのものが孫である少年の手に渡ったとき、彼は想像したと思います、「どういった感情でおじいちゃんはつくってくれたのだろう」と。そう考えていると本作のストーリーができあがりました。 ーー作中でおじいさんは晴翔くんのために、というよりも自分のために包丁をつくっていたと感じました。 浅山:私は「がんばれ」と背中を押されるよりも、前を進む人の背中を見て歩き出すタイプの人間なので。そんな価値観も本作に表れているのかと思います。