“伏兵”の満塁弾から張本、大杉へ……。メジャーにもない快挙の中の快挙とは/プロ野球20世紀・不屈の物語【1971年】
“暴れん坊”の面目躍如
前日まで9打席ノーヒットが続いていた作道は「ほかにいなかったからじゃないですかね」と振り返る。期待はされていない。だが、ロッテ4番手の佐藤元彦が投じたカーブを完璧にとらえると、打球は高々と左翼席へ。「満塁ホーマーなんて初めて」と声を弾ませた、会心の一発となる。ちなみに、これが作道にとって、このシーズン唯一の本塁打。これが号砲だった。 打順は一番に戻り、斬り込み隊長の大下剛史。「なんとか塁に出ようと思っていた」という大下の打球も左翼席に。二番の大橋穣も長距離砲ではなく、いぶし銀の職人タイプだが、前日も2発を放つなど好調で、「3連続なんて考えてもみなかった」と言いながらも打球を左翼席へ運ぶ。続くは張本だが、通算3085安打のヒットメーカーも、この日は5打席連続で凡退しており、完全にブレーキとなっていた。ロッテは左腕の佐藤政夫をマウンドに送る。だが、張本の打球も左翼席へ。「やけくそにぶん回してやった」という回顧は本音だろう。 これでプロ野球2度目の4者連続本塁打となったが、次は快男児の大杉だ。やはり「ああなれば一丁、狙いますわ」となって、大杉の打球も左翼席へ。プロ野球はおろか、メジャーにも例がなかった5者連続本塁打の完成だった。 “暴れん坊”の面目躍如。だが、この物語は、これで終わりではなかった。 文=犬企画マンホール 写真=BBM
週刊ベースボール