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コロナ禍だから業績を伸ばした移動スーパー「とくし丸」【佐高信「この国の会社」】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【佐高信「この国の会社」】  コロナ禍でも、いや、コロナ禍だからこそ、「とくし丸」は業績を伸ばしている。  買い物難民のための移動販売で“おばあちゃんのコンシェルジュ”をめざした。その移動販売車が全国で600台を越え、還暦を過ぎたばかりの創業者、住友達也は、今夏、40代の後継者に社長の座を譲った。そのグループに入ったオイシックスから担当として派遣されてきていた人である。創業から10年にもならないのに投手交代をやるところにも、この会社のユニークさがある。  買い物難民とは生鮮食品が買える場所が500メートル圏内になくて、自動車に乗れない人を指し、現在1000万人近い人がいるといわれる。主に過疎地の高齢者が対象だが、東京の四谷でも「とくし丸」の車が走っている。高齢者にとって高速道路など越えられない川のようなものなのである。  買い物難民はスーパーの大型化、郊外化によって、地元のスーパーが撤退していったこと、公共交通機関が弱体化したことによって生まれた。生協がかなりサポートしているが、注文してから届くのが1週間後で、ほとんどが冷凍食品であるため、たとえば刺身が食べたいといった需要に応えることができない。過疎地に住む高齢者の99%が女性で、彼女たちの声に徹底的に耳を傾けることによって、この事業は成功した。 「週2回訪問します。3日に1回買ってください。つまり3日に1回、赤の他人が玄関先まで来てウェルカムなものは食品以外考えられません。僕らは来てもらわないと困ると言われる存在になりたいと思います」  住友はこう語っていたが、それを続けて、電球を替えてほしいとか、郵便物を出してほしいとか頼まれる。軽トラックを利用し、冷蔵庫も積んで、300品目から400品目。点数にすると1000点から1500点の食品を載せている。郵政民営化ならぬ会社化によってなくなった過疎地の郵便局のかわりに住民のライフラインの役割もになっているのである。 (佐高信/評論家)

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