万博消費額1兆円、関西の経済成長0.34P押し上げ りそな総研試算、ホテル対応カギ
2025年大阪・関西万博の会期中の来場に伴う消費額について、りそな総合研究所が約1兆円に上ると試算した。関西で新たに発生する需要は5670億円で、関西の実質域内総生産(GRP)を0・34ポイント押し上げる効果を見込む。ただ関西ではホテルが不足しており、宿泊客が他地域に流れれば期待された効果が得られなくなる。 【画像】大阪・関西万博の消費予想 万博は来年4月13日から半年間、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開催。会期中に約2820万人が訪れ、うち約350万人がインバウンド(訪日客)と想定されている。 りそな総研はこの来場者予測に基づき、万博を訪れた人の消費額が計約1兆円に上ると試算した。内訳は会場内消費が1730億円、チケット代が1960億円、交通費が2120億円、会場外消費が4620億円となっている。 会場外消費は関西経済の成長に直結するとし、国内客が1690億円、インバウンドが2930億円と推計。会場外消費を軸に関西で新たに発生する需要は5670億円、それによる関西の実質的な押し上げ効果(付加価値ベース)は2960億円で、関西のGRPを0・34ポイント押し上げるとみる。全国では8570億円の経済効果が生まれ、GRPを0・15ポイント押し上げるという。 りそな総研の荒木秀之主席研究員は万博開催による経済効果について、「半年間で3千万人近くが宿泊や消費をする経済的なパワーはそれなりのものだ。経済成長率を押し上げる効果は大きい」と評価する。 ただ、試算された経済効果を享受するためにはホテル需要への対応が重要となる。関西では人手不足で稼働率を上げることができないホテルもあり、宿泊客が関西以外に流れれば十分な効果は得られなくなる。 荒木氏は、万博期間中は観光客だけでなく警備など万博に関連して働く人の宿泊施設も必要となるため、ホテルの需要はさらに逼迫(ひっぱく)すると分析。「あふれた需要は最終的に民泊がまかなうことになるのではないか。特に外国人は民泊に抵抗がない。関西経済の成長のカギは民泊が握っている」と指摘する。 一方、万博開催による国内経済全体への波及効果について、経済産業省は約2・9兆円と発表。民間シンクタンクのアジア太平洋研究所は約2・7兆~約3・3兆円としている。(井上浩平)