西武打線爆発。丸佳浩が王貞治以来の130四球を記録 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2018年編~
本企画はNPB過去年度の打撃ベスト10を眺め、往事の野球を今の視点から振り返り楽しんでもらおうというものだ。ただベスト10は従来の打率ではなく、セイバーメトリクスにおける総合打撃指標wRAA(※1)を採用する。これはリーグ平均レベルの打者が同じ打席をこなした場合に比べ、その打者がどれだけチームの得点を増やしたかを推定する指標だ。この視点で振り返ることで、実は過小評価されていた打者がわかるということもあるかもしれない。 【写真】平成史上最高のMVP選手は?
2018年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点 西武 143 .624 792 653 139 ソフトバンク 143 .577 685 579 106 日本ハム 143 .529 589 586 3 オリックス 143 .471 538 565 -27 ロッテ 143 .421 534 628 -94 楽天 143 .414 520 583 -63 この年もパ・リーグは柳田悠岐(ソフトバンク)のシーズンとなった。本格化した山川穂高(西武)に対してもwRAAにして約10点の差をつけている。この年は打率.352で3年ぶりに首位打者を獲得。wRAAだけでなく、1打席あたりの得点貢献を表すwOBA(※3)、出塁率、長打率と得点の創出に関連が深い指標はすべて1位となっている。 柳田はこれでこの4指標を4年続けて独占しているが、これはNPB史上で王貞治(11年連続)以外達成していない快挙である。3年連続でもほかには長嶋茂雄が記録しただけなので、柳田が歴史的に見ても傑出した打者であることがわかる。しかし柳田はこの4年間、打撃三冠では首位打者を2回獲得しただけに留まっている。もしかすると近年のNPBでは、打撃の表彰項目がプレーの実態的価値と合わなくなってきているのかもしれない。 2位には山川穂高が47本で本塁打王を獲得してのランクイン。チームメイトの中村剛也と似たタイプのスタッツを残しており、球団に長打のスペシャリストを輩出する文化が根付いているようにも感じられる。 3-5位には高い出塁率と長打力を併せ持つ秋山翔吾(西武)、吉田正尚(オリックス)、浅村栄斗(西武)がランクイン。秋山は39二塁打がリーグ最多。初のトップ10入りとなった吉田正尚(オリックス)も37二塁打を記録している。 6位と8位には日本ハム勢の近藤健介、西川遥輝が出塁のスペシャリストらしい個性的な活躍。西川は44盗塁で3度目の盗塁王を獲得したが失敗はわずかに3。200盗塁を達成したこのシーズン終了時点で成功率は驚異の.873となっている。3年ぶりに9位にランクインした森友哉(西武)は打撃でも利得をもたらす新時代の捕手像を提起した。 ベスト10圏外の注目選手に挙げたのは源田壮亮(西武)。wRAAは-3.1と打撃指標はマイナスながら、守備指標UZR(※5)で、前年から2年続けて全ポジション中最大の利得を計上した。この年は平均的な遊撃手に比べ守備で30点以上多くの失点を防いだという評価になっている。そしてこの全ポジション中1位の記録は2019年まで継続することになる。