同僚が忙しそうにしているのを見かけたとき、社内の「素敵な人」はどんな先回りをする?
同僚が忙しそうにしているのを見かけたとき、社内の「素敵な人」はどんな先回りをする? それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健) ● 「少しの先回り」でいい 先日、社会人の娘とセルフサービスのカフェに行きました。 私はコーヒーだけ、娘はコーヒーとチーズケーキを注文しました。 受け取ったトレイには、注文品のほかに、フォークが2本と小皿が1枚も添えられていました。 スタッフの方が「母娘だからシェアするだろう」と、フォークをリクエストされることを見越して、先回りしてくれました。 こうした「少し先回り」の気づかいは、サービス業のプロがよく見せてくれます。 たとえば、1月の寒い日に訪れた日本旅館では、部屋に入るとすでに空調で温められていて、こたつにもスイッチが入っていました。 冷え切った足を入れた時は、言葉にならない幸せを感じたものです。 また、豪雨の中、入ったフレンチレストランでは、入口で清潔なタオルを手渡されました。 思わず「ありがたい!」と声があげてしまいました。 どちらも「少し先回り」して、こちらの状況を思いやってくれていることが伝わってきます。 ● 自分がされて嬉しいことにヒントがある ビジネスの場面でも、この「少し先回り」ができる人は素敵ですよね。 ある友人が、イベント責任者として忙しく立ち回っていたときの話です。 イベント後、同僚が「よかったら使って」と、その日気づいた点をメモにまとめて渡してくれたのだそうです。 友人はイベント後に報告書を作成する必要がありましたが、当日は忙しすぎてメモを取る余裕がなかったため、その気づかいに心から感謝したそうです。 「そんなに先回りなんて難しい」と思う方もいるかもしれませんが、自分がされて嬉しいことを思い出してみると、案外ヒントが見つからないでしょうか。 友人にメモを渡した同僚も、かつて同じようにメモをもらって助けられた経験があったのかもしれません。 ちょっとした先回りの気づかいが、誰かにとっては大きな支えになることもあるのです。 (本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。) 川原礼子(かわはら・れいこ) 株式会社シーストーリーズ 代表取締役 元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー 高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。 2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。
川原礼子