「田村淳」も採用 “社内SNS”のノウハウ生かしてファンサロン運営に進出したIT企業の商機
コロナ禍をきっかけに「Chatwork」や「Slack」といったビジネスチャットに注目が集まっている。リアルで対面する機会が減ったため、社内のコミュニケーションをどう活発化させるか、各企業は模索している。 【画像で見る】新サービスを採用した田村淳校長 2016年に事業を開始したITベンチャーの「スタメン」(名古屋市)は、組織と従業員のつながりを強化する経営プラットフォーム「TUNAG」を展開。導入企業は310社にまで増えた(20年9月時点)。そして、同サービスで培ったノウハウを生かして「FANTS」を20年5月にリリースした。プロスポーツチームやアーティストに向けて、オンラインファンサロン運営に必要となるシステム・プラットフォームなどを、ワンストップで提供する。 人と人とのつながりの場が、SNSなどにどんどん拡大していくなかで、どのような成長戦略を描いているのだろうか。
コミュニケーションを促進
TUNAGは、「社内報」「福利厚生」「経営陣の発信する理念」といったさまざまな情報を一方的に従業員に届けるのではなく、双方向でやりとりできるようにする“社内SNS”的な性格を持つサービスだ。 例えば、スタメンの場合、上司と部下が実施した「1on1ミーティング」の結果をTUNAGに投稿しており、全社員が閲覧できる。部下がミーティングの結果を振り返ることで、上司は自分の伝えたことが理解してもらっているかどうかを確認できる。すれ違いがあれば、追加でコメントすることもある。また、他部署の社員が閲覧すれば、会話のきっかけとなる。これまで、飲み会や喫煙所などで自然と行われてきた部署横断的なコミュニケーションを、ITをきっかけにして促進しようというのが狙いだ。 また、同社では、曜日ごとに社長や役員がTUNAGを通して、自分が担当する事業の情報などを発信している。これも、従業員に分かりやすく経営方針を伝えるためだ。 TUNAGを導入する際、スタメンの担当者は顧客と一緒にどういったメニュー内容にするか協議する。導入後も、担当者がTUNAGの運営に関わり、経営陣や従業員の交流が促進されるように促していくという。顧客の経営理念に立脚し、プランを提案する。 TUNAGの運営にあたっては、なるべく業務と切り離すことを心掛けている。例えば、1つのビジネスチャットで業務の指示出しと社内交流を同時に行うと、落ち着かない社員も出てくる。社内交流の機能を切り離すことで、「心理的安全性」を確保する狙いもある。