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「うしろめたさじゃないけれど…」長谷部誠36歳がコロナ禍で味わった“特権と犠牲”

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文春オンライン

「ドイツでも新型コロナウイルスが猛威を振るいました。ブンデスリーガも3月13日から約2カ月間、中断を余儀なくされました。3月下旬には外出制限等、厳しい制限措置が国中で取られるようになりました。リーグ中断の決定直後、フランクフルトの選手から感染者が出たんです。すぐに僕ら選手に対して『自宅隔離』が命じられました。 【写真】この記事の写真を見る(4枚)  その間は、本当に一歩も自宅から外に出られません。友人に食料品や生活必需品の買い物をお願いして、玄関ドア前に置いてもらいました。  でも、ずっと家にいる生活に、ストレスは感じませんでしたね。オフも含めて今までこんなに長く、家族と一緒に時間を過ごしたことがなかったので、むしろ新鮮でした」

「特別な時間を与えられた」

 こう語るのはサッカーのドイツブンデスリーガ1部、フランクフルトで活躍する長谷部誠(36)だ。2018年に行われたW杯で日本代表キャプテンを務めた長谷部は、累計140万部越えのベストセラーで独自のメンタル哲学を綴った『心を整える。』の著書でも知られる。今回、「文藝春秋」のインタビューに応じ、コロナ禍でどうやって「心を整えたか」について語った。 「(コロナで自宅隔離となった時は)毎日、今年3歳になる娘の成長を間近で見られた。確かにコロナで世界中が大変だったけれど、僕自身にとって、今後こういうことが起こるかはわからない、特別な時間を与えられたと、受け入れていました」 「特別な時間」を娘と一緒に過ごす中で、長谷部氏は自分自身が父親として「鍛えられている」ような気になったという。 「まず、ダメなことはダメだと伝えるとき、自分の気分で叱り方を変えちゃいけないなとすごく気を付けています。まあ、でも必ずしもそれが完璧にできているかというと……難しいですよね。試行錯誤を繰り返しています。完璧なんてないと思っているし、肩ひじを張らず、娘を教育しながら、自分も教育されている感じです」

ブンデスリーガだけが与えられた“特権”

 5月16日にブンデスリーガは無観客試合という形で再開。世界の主要リーグの中で最も早い再開だった。 「ドイツ国内でも、まだ学校を始め、娘の保育園なども再開していない状況で、他のスポーツも解禁されていませんでした。さまざまな制限が残る中で、ブンデスリーガだけが、ある種『特権』を与えられたわけです。  サッカーは選手同士のコンタクトが激しいスポーツです。感染リスクを、不安に思わなかったのか? という質問をよくうけましたが、そういう不安はなかったです。なぜなら2日に1度くらいのペースでテスト(PCR検査)をやっていたし、試合前も、前日からホテルに完全隔離。人との接触機会を最小限にするため、それまで3人いた用具係が1人になるなど、スタッフの数も減らされていましたから。リーグ全体で目に見える対策を講じていたので、危険を感じることなく、サッカーができました。  ただ、その後、感染リスクを避けるため、レストランが再オープンしても、僕ら選手は外食を控えなければなりませんでした。また、子どもと公園へ散歩に行けないなど、私生活を犠牲にする一面もありましたが、『特権』を与えられた身としては当然だと受け入れました。でも、うしろめたさじゃないけれど、果たしてこの再開が正しいのかという疑問があったのも事実です」 「文藝春秋」10月号および「文藝春秋digital」のインタビュー「 いまは『筋肉痛』すら愛おしい 」では、さらに無観客試合で感じた違和感の正体、現役で生き続ける秘訣、先日引退した盟友・内田篤人への思いなどを告白している。

「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年10月号

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