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外資系や医療業界に吹き荒れる解雇勧告…上司に呼び出され「辞めてくれ」

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日刊ゲンダイDIGITAL

 2020年の上場企業の「早期・希望退職」募集は9月末時点で63社、1万1590人(東京商工リサーチ調べ)と、すでに昨年1年間を抜くハイペースで推移している。新型コロナの直撃が3分の1超の企業に影響を与えたものだが、業績悪化によるこうした対応は上場企業だけではない。外資系企業、医療業界の従業員にも突然の解雇勧告が増えているのだ。  外資系企業のトップコンサルタントとしてM&A事業を担当、3000万円の年収を稼いできたA氏(53)のケースだ。 「昨年末から今年にかけて会社全体の顧客が激減、私の成績も目標に届かず、まずいなと思っていたら、突然、契約更新を断ってきた。業績悪化で外資系は簡単にクビを切ることは分かっていました。しかし、コロナの影響は海外企業の方が大きく、M&Aの腕がいいといっても簡単には再就職先は見つかりません。稼ぎが多かっただけにいまの生活は天国と地獄です」  新型コロナウイルスの感染は病院や歯科医院の患者を激減させた。都内8カ所にある系列歯科医院で働く歯科衛生士(32)は、院長から呼び出され突然退職を迫られた。 「新型コロナで売り上げが半減した。1軒100万円の家賃が払えなければ出て行けと大家に言われている。クリニックを縮小するので、助手や衛生士に1カ月以内に辞めてもらう」  この歯科医院には歯科医と助手がそれぞれ2人、歯科衛生士が5人と事務員の全体で約80人のスタッフがいたが、うち10人が退職勧告で辞めた。 「患者さんが減り始めたのは緊急事態宣言の直後からで、キャンセルが続出し、それまでの半分以下に患者さんは減りました」(前出の歯科衛生士)  退職後はどんな職種でもいいとハローワークに通う毎日だという。 「会社から突然クビを切られた従業員は、精神的に大変なことになっています」と言うのは、都内の精神科クリニック院長だ。最近診察に来た患者のケースを話してくれる。 「支店長から食事に誘われた翌日、『コロナの影響で社内の部門を統合した結果、キミの部署は廃止になった』と退職勧告された。IDカードは取り上げられ会社に入れなくなったと言うんです。ショックが大きく、目が据わり、生気のない夢遊病者の状態でした。『眠れない』『食欲がない』と訴え、神経症からのノイローゼ、うつ状態になる患者は今後も増えてくると思います」  新型コロナによる業績の影響は、消費回復の遅れ、長期化でさらに雇用に影を落とす。個人加入の労働組合、東京管理職ユニオンの鈴木剛執行委員長がこう指摘する。 「今後は雇用調整助成金などの補助金の終了も見え、年末から来年にかけ企業の早期退職者募集に拍車がかかることが予想される。今後の退職者の急増が懸念されます」  年末年始、失業者が街にあふれる年にならなければいいのだが。 (ジャーナリスト・木野活明)

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