尹氏「決して諦めない」職務停止も争う姿勢 弾劾訴追案可決受け談話
【ソウル=時吉達也】韓国国会(定数300)は14日、「非常戒厳」を一時宣布し戒厳軍を動員するなどした尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を可決した。憲法裁判所は尹氏の罷免の妥当性を180日以内に判断する。韓国政治は混迷が続く見通しで、改善傾向にあった日韓関係への影響も予想される。 尹氏の弾劾訴追議決書は14日午後7時24分(日本時間同)、大統領府に送達され、尹氏は同時間をもって職務停止となった。韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行する。韓氏は同日夜、臨時閣議を開催し、北朝鮮に対する監視·警戒態勢を強化するよう指示。米韓と日米韓の「信頼を維持することに最善を尽くす」と述べた。 尹氏は14日、弾劾案可決を受けて談話を発表。日米韓協力の強化などの実績を挙げて「この間の努力が無駄にならないかもどかしい」と述べる一方、「決して諦めない。最後の瞬間まで国のために最善を尽くす」とも主張。憲法裁で争う姿勢を示した。 弾劾訴追案の採決では、賛成票は204票で、在籍議員の3分の2にあたる200人以上が賛成する可決要件を満たした。野党側の議員は計192人で、党として弾劾訴追に反対する方針だった与党「国民の力」所属議員のうち12人以上が造反したとみられる。 弾劾訴追案の採決は2度目で、7日には与党「国民の力」議員の投票ボイコットで廃案となった。同一人物に対する弾劾案は国会会期中に1回しか採決できない。このため、「共に民主党」など野党側は会期を1週間単位で区切り、12日に弾劾案を再提出した。 韓国大統領の弾劾訴追は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、朴槿恵(パククネ)(パク・クネ)両元大統領に続き3人目。憲法裁で罷免が認められれば朴氏以来2人目となり、60日以内に次期大統領選が実施される。 捜査当局は内乱容疑で尹氏の捜査を進める。内乱罪は大統領の不訴追特権の例外に当たる。