【ONE】王者プラジャンチャイがまさかのギブアップ「もうやれない」、ラシリが番狂わせで新王者に
ONE Championship『ONE 157: Petchmorakot vs. Vienot』 2022年5月20日(金)日本時間の午後6時30分(日本時間)シンガポール・インドアスタジアム 【写真】ONEの大きなベルトを掲げて歓喜するラシリ ▼ONEムエタイ ストロー級(56.7kg)世界選手権試合 3分5R ×プラジャンチャイ・PK・センチャイ(タイ)56.1kg, 1.0027 [TKO 3R終了時] 〇ジョセフ・ラシリ(イタリア/モロッコ)56.6kg, 1.0237 ※ラシリが新王者に 2021年7月のONE初参戦で、いきなり王者サムエー・ガイヤーンハーダオに挑戦したプラジャンチャイは、蹴り足を掴んでの右ストレートでダウンを奪うなど、5Rの判定2-0でサムエーに勝利しベルトを巻いた。 元ラジャダムナンスタジアム認定フライ級王者、元ルンピニースタジアム認定バンタム級&スーパーバンタム級王者で、ボクシングでもWBAサウスアジア・バンタム級&フェザー級王座に就いている。スピードがあり、ハイレベルなテクニシャンタイプのムエタイトップファイターの一人で、パンパヤック、ルンキット、プーンコン、ピチットチャイといった一流強豪ファイターたちと拳を交えてきた。2021年3月には7チャンネルのTVマッチでロンナチャイからも勝利を収めている。 対するラシリは、WBCムエタイ世界バンタム級王者で、ラジャダムナンスタジアムでイタリア人として初めて勝利を収めた選手である。2018年1月にONEでサムエーに敗れているが、2019年3月の両国大会では秋元皓貴と対戦し、秋元にプロ初黒星を付けた一戦が光る。ONEでの戦績は3勝4敗。2021年は4月にパンペッチ・オー.ピティサックに判定で敗れたが、12月に品川朝陽を1R、左ヒザでKOに降している。被弾しても強いハートで前進し、ヒザを当てる“ハリケーン”は、格上のプラジャンチャイを攻略することが出来るか。 1R、オーソドックス構えから。ステップを踏みローを蹴るラシリに、じっくり抱え、ジャブからストレートを狙うプラジャンチャイ。ラシリの右の打ち終わりに右で飛び込む。左ジャからワンツーで押し込むラシリに、ストレート、左ミドルを返すプラジャンチャイ。リーチを活かして出入りのラシリ。 2R、ガード高く前に出るプラジャンチャイ。しかし遠い距離を取るラシリ。右ローを当てるプラジャンチャイラシリを誘いこんで右ストレートをヒット! しかしラシリもワンツーから左ボディ! 左アッパー、ヒザ蹴り。ラシリの打撃にプラジャンチャイは右目周辺から出血。 3R、前に出るプラジャンチャイに右ストレートを当てるラシリ! 強引に詰めるプラジャンチャイをいなし、バックフィスト、左アッパーを突く! 左ミドルを返すプラジャンチャイに、左の攻撃を上下に散らし、後ろ蹴りを腹に、さらに左ボディも効かせるとプラジャンチャイは後退。ラシリは左を上下に打ち分け、右アッパーも当てる。 3R終了時、右目周辺を止血するプラジャンチャイは、レフェリーの確認に「もうやれない……」と心を折らすと、ゴング。ラシリが新王者となった。 試合後、ラシリは「プラジャンチャイに勝てるなんて出来ないと思われていた。ボクシングコーチについてもらい、ゲームプランを変えた。自分を証明できた。これが僕の人生だ。“シンガポール! ディス・イズ・マイ・メイン・ライフ!”」と、リングアナウンサーのドミニク・ラウを真似て叫ぶと、5万ドルのボーナス獲得も告げられた。