【ヴィクトリアマイル】好走条件揃うレシステンシアが最有力 復調見せたレイパパレも侮れない
時計が掛かれば総合力勝負
東京芝1600mは最初のコーナーまでの距離が約542mあり、コースによる枠順の有利不利は少ない。しかし、ヴィクトリアマイルの週からBコースに替わることで一気に馬場が高速化し、結果、距離ロスなく立ち回れる内目の枠が有利になる傾向はある。 【ヴィクトリアマイル 2022予想】デアリングタクト、ソダシら超豪華メンバー! 女王の復帰戦をデータでジャッジ(SPAIA編) 1分30~31秒前半の超高速決着となった場合は、2019年の安田記念で外枠から後手を踏んだアーモンドアイが3着に敗れたように、前半のロスや距離ロスが致命的になる。土曜朝も少し雨が降ったため、当日時計が掛かるようなら枠順や脚質の有利不利は軽減される。 また、今回は前走の高松宮記念で逃げたレシステンシア陣営から控える指示が出ているようで、そうなると今回逃げたいとコメントしているローザノワールが前に行きそうだ。中山牝馬Sでハナに行けなかった同馬が逃げるなら、平均ペースに収まる可能性が高い。今回、東京芝1600mらしい総合力勝負になると見る。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 デアリングタクト】 一昨年に6頭目の牝馬三冠を史上初の無敗で達成した馬。桜花賞、オークス、秋華賞で記録した指数は、2012年のジェンティルドンナや2018年のアーモンドアイの三冠と比較すると低かった。その3レースとも差し、追い込み有利の展開だったことから、このコラムでも古馬になって苦戦する可能性が高いことを綴っていた。 「三冠馬3頭の歴史的対決」と謳われた2020年ジャパンCでも3着と好走。しかしこのレースもキセキの大逃げにより、前半5F57秒9-後半5F61秒8の超ハイペースとなり、ここでも展開に恵まれる形となった。しかし、日本最高峰のレースで互角以上に戦った実績は、牝馬が相手のここなら上位。また芝2400mのジャパンCで自己最高指数を記録している馬だけに、超高速馬場のマイル戦となると不安もあるが、週中の雨の影響で時計の掛かる馬場になれば、その不安も解消される。 今回一番の懸念点は、繋靭帯炎という難しい故障からの1年ぶりの復帰戦となること。2歳時に全日本2歳優駿を制し、3歳でジャパンダートダービー、マイルCS南部杯、チャンピオンズCと連勝し、飛ぶ鳥を落とす勢いだったルヴァンスレーヴも繋靭帯炎から1年5ヵ月の休養を経て復帰したものの、本来の姿を取り戻せず引退。医療技術は目覚ましく発展しているが、なかったことにできる魔法ではないだけに、今回で狙うにはリスクがある。 【能力値1位 レイパパレ】 デビューから無敗で昨年の大阪杯を優勝した馬。大阪杯当日は6レースの後から土砂降りになり、メインレースでは芝の馬場状態が良から重まで悪化。不良馬場と言ってもいいほどタフな状態のなかで、コントレイルやグランアレグリアらを相手にハイペースの逃げを打ち、今回のメンバーではNO.1の指数で勝ち切った。 その時点ではどこまで強くなるのかと大きな期待を集めたが、結果的に休養明けの大阪杯であまりにも強い走りをしたため、大きな疲労が残ったのだろうか。昨年は大阪杯以降、勝ち星からも見放され、精彩を欠いた。 昨年暮れの香港遠征から約3ヵ月休養し、疲労がとれたようで、今年に入ってからの2戦はようやくこの馬らしい成績になってきた。今回は久々のマイル戦。レースの流れに乗れるかという不安もあるが、本来の能力を出せる状態まで復調しており、今回のメンバーなら勝ち負けになる可能性は高いだろう。 【能力値3位 レシステンシア】 デビュー3戦目の阪神JFをかなりの好指数で圧勝した馬。芝マイルは得意でその後の桜花賞、NHKマイルCは2着だったが、ともに勝ち馬以上に強いレース内容だった。強く、スピードはあるが瞬発力に欠けるため、先行して最後まで粘り通す形が得意。また、最後にキレを要求されなくて済む力のいる馬場は得意だ。 瞬発力不足という弱点を意識したのか、前走は逃げる競馬。当日の馬場状態を考えると、結果的に完全なオーバーペースとなってしまい失速した。ただ今回に向けてとなると最高の前哨戦だった。前走で力を出し切れていないので疲労が残らず、順当に体調が上向くだろう。そして叩かれ息持ちが大幅に上昇し、前走タフな内容だったことも、本番の粘りに繋がってくるはずだ。 今回は得意の芝マイルが舞台。パンパンの良馬場だと、いくら飛ばしても最後にある程度瞬発力が要求されてしまう。当日良馬場発表でも、週中の雨の影響で力のいる馬場になれば、純粋なスピードで押し切りやすく、レシステンシアにとって好走条件が揃う。今回の最有力と見る。 【能力値3位 ミスニューヨーク】 オープンクラスに入ってからはやや足りないという成績が続いていたが、前々走のターコイズSで初重賞制覇を達成。前走の中山牝馬Sでも3着と善戦しているように、ここにきて着実に成長しているようだ。 ただ前々走のターコイズSは、それなりに時計を要した状況でかなりのハイペース。2番枠から出遅れ、二の脚も遅く、押しても進んでいかず最後方付近からの競馬になった。そう考えると展開が向いての優勝だった。前走の中山牝馬Sは1800m戦でそこまで置かれず、中団の内目でレースを進めてはいる。しかし1600m戦では前々走と同様に、追い込み競馬になるだろう。 超高速馬場となった場合は、追走に苦労する可能性が高いと見ていたが、前々走のように時計が掛かり前がペースを引き上げるならチャンスはありそうだ。 【能力値5位 クリノプレミアム】 8走前の福島芝1800m・松島特別(2勝クラス)ではオープンと同等の好指数を記録して圧勝。その時点で芝1800mではかなり強いことはわかっていたが、前々走の中山牝馬Sは15番人気で優勝。前走の福島牝馬Sでもローザノワールが逃げられないほどのハイペースを先行して2着。牝馬限定のG3では十分に通用する力の持ち主であることをアピールした。 しかし今回は芝1600mが舞台。同馬は昨夏の松島特別、長岡Sを連勝したときも芝1600mの長岡Sで指数をダウンさせており、距離が短くなるのはあまり良い材料ではなさそうだ。勢いでどこまで上位に食い込めるかという評価になる。