「この悲しみはいつまで続くのか…」大切な人との死別、向き合い方を専門家と考える。第三者から得る、生きるためのヒント。11月23日は【グリーフを考える日】
本日、11月23日は「グリーフを考える日」です。大切な人との死別をはじめとする「喪失」を体験した人の悲しみを癒やすサポートを「グリーフケア」と呼びます。関西学院大学「悲嘆と死別の研究センター」の坂口幸弘さんと赤田ちづるさんは、大学で教育や研究をするかたわら、病院や葬儀社と連携してグリーフケアの支援活動を行っています。今回は、お二人の著書『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』から、死別と向き合い、再び歩き出すためのヒントを一部ご紹介します。 【書影】大切な人を亡くしたあなたへつづる、再び歩き出すための28のヒント。坂口幸弘、赤田ちづる『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』 * * * * * * * ◆死別の悲しみとどう向き合うか 自分が今どのような状態なのか、悲しみにどう向き合ってよいかもわからず、途方に暮れてしまうことがあります。 心の中で何が起きていて、自分はこの先どうなってしまうのか。 この悲しみがいつまで続くのか。 先が見えないことへの不安を感じている人もいるでしょう。 私どもの遺族会に来られる人の中にも、「この悲しみや苦しみはいつまで続くのですか」というような質問をされる人は多くいます。 自分が経験している死別という体験について、知ることが大切です。 関連する本や、自分と同じような経験をした人の体験談を読んでみてはいかがでしょう。死別を経験した人が書いている手記などを、インターネットやSNSで探してみるのも一つの方法です。 講演会や勉強会に出かけてみるのもいいかもしれません。 実際、私が出会ったご家族の中には、死別に関するたくさんの本を読み、マーカーで線を引いたり、付せんを貼ったりされている人も少なからずいて、何度か見せてもらったことがあります。 もちろん、とてもそんな気になれないという時期に、無理を押してまで読んだり、聞いたりする必要はなく、関心が向いたときでかまいません。
◆自分だけじゃないと勇気づけられて また、老若男女を問わず、インターネットで「死別」と検索して、ご遺族の体験談を読んでいる人も多くいます。 死別体験についての知識や情報を得ると、今の自分が置かれている状況を客観的に受けとめ、自分がどのような状態なのか、心の中で何が起きているのかを理解できるようになることがあります。そうすると、少し安心できるかもしれません。 夫を亡くした40代の女性は、インターネット上で似たような死別を経験した人の体験談を読んだそうです。 「周囲の人はもう1年たったのだから……とか、いつまでも悲しんでいても……と言いますが、ずっと悲しくて寂しくてあたりまえなんだと思えるようになりました。私がおかしいわけではなくて……」 この女性は、同じような体験をしている人がほかにもいることを知って、「自分だけがこのような体験をしているのではない」と、勇気づけられたようです。 類似の体験をした人の話を聞いたり読んだりすることが、生きていくうえでのヒントを得たり、自分のこれからを少し見通せるようになることにつながります。