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新車販売不振や周辺産業の衰退リスクも! それでもメーカーがクルマの「サブスク」に取り組むワケ

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携帯電話の普及がクルマのサブスクへの抵抗をなくす

 最近はメーカーや販売会社が、カーシェアリングや定額制でクルマを使うサブスクリプションに乗り出している。「サブスク」と表現すれば新しいサービスに聞こえるが、実質的には従来から行われているカーリースと同じだ。 【写真】若者にも人気の個性派軽自動車!  サブスクやカーシェアリングを行う背景には、国内販売の伸び悩みがある。若い人達を中心にクルマを売りにくくなり、新しいサービスを手掛けている。ただし、これらのサービスを宣伝すれば、愛車離れが一層進む心配も伴う。またサブスクやカーシェアリングを利用するユーザーが、ボディをコーティングして美しく見せたり、パーツを装着するドレスアップなどは考えないだろう。  つまり、これらの新しい試みはクルマの販売だけでなく、各種サービスの売れ行きまで下げる危険も含んでいる。それでも今の国内販売は追い詰められているため、新しいサービスを提案するしかない。  その一方で、サブスクが普及すれば比較的短い3~5年の契約期間で、定期的にクルマを入れ替えられる。残価設定ローン、サブスクともに新車を卸して登録台数を増やすため、短期的に見れば販売増加と同じ効果が得られる。  背景には携帯電話の普及も関係している。販売店では「今のお客様は、クルマも携帯電話と同じ感覚で利用する。一定のお金を払い続ける利用方法の抵抗感が薄れてきているため、残価設定ローンやザブスクの普及を促した」という。以前はクルマを含めて商品は購入の対象で、ローンを使うとしても最終的に自分の所有にすることが目的だった。この感覚が定額制で使う携帯電話から変わり始め、今ではクルマにも波及した。

ユーザーの任意保険等級によってはサブスクに利点も

 サブスクの利用者数を新車の販売店に尋ねると「あまり増えていない」という。メーカーが主導で行うサービスで販売会社は積極的にならないため、現状では普及も進みにくい。サブスクの損得勘定は、サービス内容によって異なる。一般的にサブスクの料金には税金や自賠責保険料も含まれ、この手続きを行う手間も運営側の負担であるため、ユーザーが自分で支払う残価設定ローンなどに比べると割高になりやすい。  しかしトヨタが積極的に取り組むKINTOは、ユーザーの年齢などによって残価設定ローンよりも割安になる場合がある。KINTOでは自賠責保険料に加えて、任意保険料まで利用料金に含まれるからだ。しかもKINTOの任意保険は、無制限の対人賠償と対物賠償に加えて車両保険にも加入しており、年齢条件や家族限定を付帯していない。  従って父親がKINTOで契約した車両を子供に貸して、一緒にドライブに出かけた未成年の友人が交通事故の加害者になった時でも、任意保険を利用できる。  あるいは任意保険を何度も使い、等級が下がって保険料が高額になったユーザーも、KINTOを利用すると出費を抑えられる場合がある。極端にいえば、1等級まで下がったユーザーが250万円前後の新車を契約して車両保険も加えた場合、年齢などの各種条件を一切付帯しないと1年間の任意保険料が40~50万円に達する場合もある。こういったケースで比べるとKINTOが安い。  逆に無事故の期間が長く20等級に達して保険料が大幅に割引きされ、さらに家族限定なども付帯しているユーザーが購入する場合と比べれば、KINTOの出費が上まわることもある。ユーザーによって損得勘定が異なるから入念に計算したい。  メーカーが実施しているサブスクやカーシェアリングは、現時点では発足直後のサービスだから、いずれも利用者は少ない。それでもサービス内容に割安感が伴えば、利用者も少しずつ増える。逆に割高では普及は望めない。  販売会社の理解を得ることも大切だ。今の新車需要は80%が乗り替えに基づくから、購入時には何らかの形でセールスマンのアドバイスを受けることが多い。メーカー中心の運営で、販売店を介して顧客を募るサービスもないと、販売会社の協力を得るのは難しい。単に点検などを任せるだけでなく、販売会社も相応のメリットが得られる仕組みを作ることが求められる。  2020年5月からはトヨタが全店で全車を販売するようになり、隣接する同じ資本系列の店舗を統廃合する動きも生じる。そこを販売会社の運営するカーシェアリングやレンタカーの営業所に変更するプランもあるという。メーカーが販売体制の変革に乗り出したなら、無理なリストラを行わず、販売会社が順調に運営できるようサポートすることが大切だ。サブスクやカーシェアリングは、そこを前提に成り立つサービスといえるだろう。メーカーだけで、ユーザーに対するサービスを自由に操ることはできない。

渡辺陽一郎

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