男子バレーはリオ五輪出場権を得るために逆襲できるか? 山本隆弘氏に聞く
男子バレーのリオ五輪出場権を争う世界最終予選(OQT)が東京体育館で開幕、日本は2戦を終えて1勝1敗、中国には0-3でストレート負けを喫して、北京五輪以来、2大会ぶりとなる五輪出場に赤ランプが灯った。出場8か国中、アジア1位か、アジア1位を除く上位3位以内に入るのが五輪出場条件。今日31日は、2014年の世界選手権優勝チームのポーランドと対戦、明日、6月1日には、アジア最大のライバルであるイランとの大一番を控えるが、まだ勢いに乗れていない日本は逆襲できるのか。五輪出場権を得ることができるのか。 元全日本のエースで北京五輪出場経験のある山本隆弘氏に話を聞いた。 ――中国戦の敗戦原因は? 「生命線のサーブが機能しなかった。中国とは対戦経験が少なく、データのないまま戦わざるを得なかったこともあったが、特にサーブでどこを狙っているのか、ターゲットが見えなかった。選手に話を聞くと『自分の得意なコースに打て!』という指示だったという」 ――戦術の練り込みが足りなかった? 「中国には、2メートルを超える選手が揃っているため、ベストサーブで崩したかったのだと思う。その狙いは理解できるが、1本目に100パーセントでサーブを打ってミスをした場合、次のサーブをどう調整すればいいのかの目安がない。感覚をつかめないままミスを重ねる。サーブで攻めなければならないという気持ちが強い分、力みも出る。同じアジアで中国には負けられないというプレッシャーもあったのだろう。 しかし、逆にターゲットをしっかりと決めてミスをした場合は、修正するための感覚をつかみやすい。例えば、『前衛のウイングスパイカーを狙って行け』というような指示があれば、そこを狙いながら感覚がつかめたのかもしれない。 また一人がミスをすると、続く選手が『俺が決めないと追いつけないぞ』と焦り、力みにつながってサーブのコントロールができなくなり、またミスをするという負の連鎖反応が起きる。それを断ち切ることができなかった。そう考えると非常にリスキーな作戦だった」 ――なるほど。 「対照的に中国には、日本のバックアタックを潰して、ミドルを使えないように前に落とすショートサーブを仕掛けてきた。日本がやるべきことを逆にやられた。また石川ら日本のウイングスパイカーも、1対1のブロックにつかまるシーンが目立った。スパイカーの心理としては、相手が1枚なら『有利だ、打ちたい!』と考えるが、少し安易に勝負してしまった。 『勝ちたい、早く結果を出したい』の気持ちが強すぎると、つい個人プレーに走ってしまう。6人で点数をとれていないのだ。平均身長で中国は、2メートルを超えているのに『同じアジアのチームだ』という意識が抜け切れていなかったのかもしれない」