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軽トラでごみ捨てに…決して安くない田舎暮らしのコスト【牛次郎 流れ流され80年】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【牛次郎 流れ流され80年】#45  伊豆の別荘地には、定年退職後に東京から移住したという老夫婦が少なくない。気候は温暖で、高台から眺める大海原は壮観だ。新鮮でおいしい魚介類だって味わえる。  ただし、生活にかかるコストは、それほど安くはない。 「もう何十年も前から俺は、道と水とゴミと空気の4つにカネがかかる時代が来るって言ってたんだよ。したら見事にそうなった。どれも人間が暮らす上で必要なもので、これまでは公が担ってきたことだ。それが地方自治体も国もカネがなくなって、ちゃんとやれなくなった。幸いこっちは東京と違って空気はきれいだし、喘息になるようなこともないけど、ゴミがどうしようもないね」  願行寺の近くには、ゴミの収集場が1カ所しかない。ほとんどの家庭にとってはないも同然で、そこに捨てることをハナから諦めているという。 「ゴミステーションに捨てるのではなく、自分でゴミ処理場まで持っていくんだよ。この辺りじゃ、車は1人1台なんだけど、その他に軽トラを持っていて、それでゴミを捨てに行くんだよ。ただ、その場所がまた遠いんだよな~。一つは熱海と伊東の境界あたりにあって、もう一つは反対に中伊豆との間ぐらいにある。だもんで民間の業者に頼んで持っていってもらってる家庭が多いんだよ」  週に1度、ゴミを収集してもらって費用は月額3000円。なかなかの金額だ。 「俺のところは塔婆とか骨壺とか、人が嫌がるものも出るし、週に2回収集してもらってる。それで月額6000円。まあ、それも仕方がないからって思ってるよ。でも都会から来た人たちは業者に頼む習慣がないから、庭に置いたドラム缶で燃やしちゃうんだよね。ちょっと燃やすぐらいなんてことないだろうって、ルールを知らないからやっちゃうんだけど、伊豆で野焼きは絶対にダメ。山火事になっちゃう恐れがあるからね。で、そのうちだれかに“差され”て、消防署から大目玉をくらうことになるんだよ」  人間関係の濃密さも田舎ならではだ。苦手な人には暮らしづらい環境である。 「この辺りは、いまだに回覧板もあるからね。都会から引っ越してきた人にとっては、うっとうしいことがいっぱいあると思う。もちろん深く関わるのがうれしいという人なら問題ないんだけど、現実にはあまりいない。定年退職後に夫婦2人で越して来ましたって場合は、十中八九、町内会にも入らないよ。会費だってバカにならないから、まあ仕方がないかもしれない。ちょっとした税金を払うぐらいになるからな。年金暮らしだと少しでも出費を抑えようとするし、夫婦2人でプライベートな空間を大事にして静かに暮らしたいってタイプは苦労するだろうね」  田舎には田舎の暮らし方があるのだ。=つづく (取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)

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