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恐竜研究は今が黄金時代、最新科学が変える恐竜の常識

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ナショナル ジオグラフィック日本版

 恐竜研究は「今が黄金時代だと、私は心から思います」と英エディンバラ大学の古生物学者スティーブ・ブルサティは言う。 CTスキャンされる冷凍ワニなど、恐竜研究の最前線  ここ数年、新種の恐竜が平均で年に50種ほども見つかっている。今ではコウモリのような翼で飛ぶ小型恐竜から、史上最大の陸上動物だった首の長い植物食恐竜まで、多様な恐竜がいたことがわかっている。それとともに医療用の画像診断装置や粒子加速器、化学分析といった技術の進歩も見逃せない。今や研究者たちはコンピューターの画面上で骨から周りの岩石を分離し、化石に隠された微細な特徴を観察できる。  なかでも恐竜のイメージをがらりと変えた技術は、医療用のCT(コンピューター断層撮影装置)スキャンだ。今では恐竜研究で標準的な手法となっているが、欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)の粒子加速器では、通常のCTスキャンではよく見えない化石の内部を、CTスキャンでは到達できない解像度で撮像できる。  ESRFの威力はスウェーデンのウプサラ大学のデニス・フーテンにも大いに役立った。フーテンはESRFのX線で始祖鳥の化石の断層撮影を行い、画像を詳細に解析した。骨は飛行中にかかる力に耐えられなければならないから、骨の幾何学的な構造を調べれば、飛行スタイルを推測できる。そのX線解析によって、始祖鳥は鳥のような本格的な羽ばたき飛行はできないことがわかった。  始祖鳥の翼の骨の断面は、激しく羽ばたいて短い距離を飛ぶ現生のキジによく似ていた。1億5000万年前の始祖鳥は、恐竜から鳥への進化の一場面を象徴しているようだ。その生息地だったとみられるジュラ紀の島から島へ、どうやって移動したのか。フーテンは始祖鳥の謎を解き明かす驚くべき手がかりを提示できた。  何にも増して最新の科学が明らかにしたのは、恐竜は映画などで描かれるような、似たり寄ったりの凶暴な生物ではなかったことだ。彼らもまた、時には死闘を繰り広げ、時にはのどかにくつろぐ、豊かで多様な日々を送る動物だった。窓の外を飛ぶ鳥たちのように。 ※ナショナル ジオグラフィック日本版10月号「アップデートされる恐竜」より抜粋。

文=マイケル・グレシュコ/サイエンスライター

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