住宅ローンに影響する日銀の政策金利 堅調な賃上げ動向で追加利上げシナリオは?
12月利上げの後は来年に2回の追加利上げ、最終到達点は1%か
こうしたデータに加えて、定性的な情報を確認するために日銀が10月7日に発表した「さくらレポート(地域経済報告)」に目を向けると、新潟支店エリアの観光施設からは「人件費などのコスト増を転嫁する形で入場料を引き上げた。今後もコストの上昇傾向が続くため、コンテンツを拡充し、追加的な値上げを検討する」、本店エリアの飲食店からは「最低賃金の引き上げを踏まえ年末にかけて値上げを検討している。今後数年を見据えても、人手不足解消の見込みはなく、価格転嫁を継続する」、水戸支店エリアの窯業・土石企業からは「コスト上昇のしわ寄せが下請け企業に向けられないよう政府が旗振りをしているため、労務費も含めたコスト上昇分を、すべてではないものの、価格転嫁できている」、仙台支店エリアの飲食店からは「賃上げ原資の確保に向けて、富裕層や観光客からの需要が強い高価格商品を中心に値上げを実施する」といった声が寄せられています。このような賃金と物価の相互刺激的な上昇が続けば、日銀は遅くとも来年3月か4月までに追加の利上げを決定するでしょう。 これらを踏まえて筆者は12月に追加利上げを実施した後、2025年に追加で2回(1回の利上げ幅は0.25%ポイント)の利上げが実施され、政策金利の最終到達点は1%になるというメインシナリオを想定しています。ただし、為替が円高方向に推移すれば次回の利上げは3月ないしは4月になると見込まれ、政策金利の最高到達点はやや低下する可能性があるとみています。
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