旬のサクランボ アメリカンチェリーの違いとは カロリーが高いのはどっち?
サクランボは、バラ科サクラ属の桜桃(おうとう)の果実です。春に美しい花を咲かせた後、赤い小さな果実が5月下旬頃から収穫されて市場に出回ります。初夏の訪れを代表する果物ですが、同じ頃には黒みがかった赤紫色のアメリカンチェリーも店頭に並びます。両者に栄養面などの違いはあるのでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。 【写真】やはり桜と似ている? 可憐なサクランボの花 咲いている様子 ◇ ◇ ◇
初夏の果物“赤いルビー” 山形での栽培が盛ん
古くからヨーロッパ各地で栽培されていたとみられるサクランボ。西南アジアの山地が原産地ともいわれています。日本では明治時代の初期から本格的に栽培されるようになりました。桜桃の実ですがサクランボと呼ぶようになったのは、桜の実を意味する「桜ん坊」が由来という説もあります。 サクランボの果樹には種類がありますが、食用として栽培されている代表的なものは、甘味のある「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」です。現在は山形県をはじめ、青森や山梨などでも栽培されています。有名な品種は“赤いルビー”と呼ばれている「佐藤錦」。甘みと酸味のバランスが良く、繊細な味わいが特徴です。 サクランボは日持ちがしないため、購入後は早めに食べきるのがおすすめです。新鮮なものの見分け方は、皮にツヤとハリがあるもの。色付きが良く、傷がないものを選びます。軸は緑色で褐色していないものが良いでしょう。
国産か米国産か 品種も違う 栄養面での違いは?
同時期に出回るアメリカンチェリーは一般的に、輸入サクランボの総称です。米国産だけではありませんが、店頭で見るのはアメリカンチェリーが主流。そのため、一般的にサクランボと呼ばれるものは日本産、チェリーと呼ばれるものは米国産のアメリカンチェリーを指すことが多いでしょう。 アメリカンチェリーは日本のサクランボと品種が異なり、比べるとサイズがやや大きく果肉も引き締まっています。黒っぽい赤紫色の「ビング」と、赤色の「レーニア」が代表的な品種です。この紫色は抗酸化物質の一つであるポリフェノールのアントシアニンで、生活習慣病予防が期待できます。 国産と米国産に栄養面で違いはあるのでしょうか? 可食部100グラムあたりに含まれる栄養の一部を、日本食品標準成分表2020年版(八訂)で見てみましょう。 ○エネルギー 国産:64キロカロリー 米国産:64キロカロリー ○ビタミンC 国産:10ミリグラム 米国産:9ミリグラム ○βカロテン当量(ビタミンA) 国産:98マイクログラム 米国産:23マイクログラム ○カリウム 国産:210ミリグラム 米国産:260ミリグラム ○食物繊維 国産:1.2グラム 米国産:1.4グラム エネルギー(カロリー)は同じで、ビタミンCとβカロテン(ビタミンA)については国産が、他の栄養素については米国産の方が上回っています。しかし、あまり違いは見られません。 またどちらにも微量ずつですが、ビタミンやミネラル、リンゴ酸、クエン酸、ブドウ糖と果糖がバランスよく含まれています。疲労回復や美肌作用、高血圧予防効果などが期待できるでしょう。今が旬でおいしいサクランボ。国産でも米国産でも、好きな品種を適量いただくのがおすすめです。
Hint-Pot編集部