日本製鉄が1200億円台の韓国ポスコの株式売却に乗り出す理由とは
日本製鉄が300万株近く保有している韓国ポスコホールディングス(POSCO HD)の全株式を売却することにした。最近、米国とインドでそれぞれ鉄鋼企業の買収と合弁会社の設立を推進するのに必要な財源調達に向けた地ならし作業とみられている。 日本製鉄は24日、「2000年以降、戦略的提携契約等に併せて取得・保有してきたPOSCO HD株式(全289万4712株)を今般、売却することにした」とし、「売却時期は、市場動向等を見極めたうえで判断する」と発表した。 日本製鉄はポスコと2000年8月の戦略的提携契約、2006年10月の戦略的提携の深化と株式の相互追加取得に関する契約などを締結するとともに、ポスコの株式を買い入れ、協力関係を構築してきた。8月には戦略的提携契約を3年延長した。 現在、日本製鉄はポスコの発行済み株式を3.42%保有している。同日の終値基準で、同社が保有しているポスコ株の価値は約1兆1千億ウォン(約1188億円)だと、日本経済新聞は報じた。ポスコも日本製鉄株の1.65%を保有しているが、日本製鉄と違って現在売却する計画はないという。 日本製鉄側は「これまで(ポスコとの)提携関係を構築し、様々な分野で成果を上げてきた」とし、「(株式を売却しても)今後とも同社との提携施策を推進し、カーボンニュートラル、半製品の相互供給、技術交流等、両社興津の課題に取り組んでいく」と説明した。 ただし、日本製鉄は今回の売却の理由については、「資産圧縮による資本効率向上を目的として」行うものだという説明にとどまった。 日本製鉄のポスコ株の売却は、最近積極的に進めている米国USスチールの買収と関連があるものとみられる。日本製鉄は日本国内市場が縮小している中、海外に目を向けている。 人口が増えている米国やインドなどで投資を増やす一方、現地に高炉を含む生産施設を直接備えた後、販売まで行う「地産地消」方式に切り替える計画だ。 特に米国では141億ドルを投入し、一時全世界の鉄鋼産業の象徴ともいえるUSスチールの買収戦に乗り出している。インドでも製鉄会社「アルセロール・ミタル」と合弁会社に1兆円規模の投資を準備している。 日本経済新聞は同日、日本製鉄がUSスチール買収に向けて買収金額とは別に計27億ドル超の追加投資を表明し、海外を中心とした攻めの成長投資に向けて資本効率の改善を推めており、ポスコ株の売却もその一環だと解説した。 東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )