年末恒例「クソ物件オブザイヤー2020」エントリーはじまる 「物件のクソ呼ばわり」法的問題は?
不動産業界でもっとも注目を浴びた話題を決める「クソ物件オブザイヤー2020」のエントリーが11月16日から始まった。 早速、「とあるグルメ芸人が不貞をはたらいていた」多目的トイレや、フローリングを突き破って竹が生えていたという祖父母の実家などが投稿されている。 このほか、掲載物件が激減したマンション雑誌や五輪にあわせて開業したのに、大会が延期になってしまった「高輪ゲートウェイ駅」など、新型コロナ問題に関係する投稿もある。 11月21日までにツイッターで「クソ物件の魅力」を込めた投稿を募集。拡散上位や運営側が推薦した作品の中から、一般投票で最優秀作品を決める。 クソ物件オブザイヤー(KBOY)は2014年にスタート。今では年末のネット恒例行事になっており、2019年は687件のエントリーがあった。 ●物件を「クソ」呼ばわり 法的問題は? しかし、物件などに対して「クソ」呼ばわりをしても良いものだろうか。 KBOYの主宰者で、不動産業者らでつくる「合同会社全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)」の顧問を務める北周士弁護士は、次のように話す。 「法的なところでは、個人の名誉を傷つけたり、プライバシーを侵害したりしないよう気を付けてほしいです。取り上げ方によっては、物件の評価にも影響します。虚偽情報を流すと、偽計業務妨害になることもありえます」 行き過ぎたものについては、状況に応じて投稿者に警告などもするそうだ。 一方で対象が個人ではなく、企業や行政が絡んだものになれば、論評や不動産を切り口にした社会批評の色合いが濃くなっていく。 ●「クソ物件」の再建に900万円のクラファン 「クソ物件」は必ずしも「ひどい」を意味するわけではないようだ。 たとえば、2018年の同イベントで3位に入賞したのは、台風で「コントセット」のように倒壊した奥行約1メートルの「ドリフうどん屋」。今年9月、全宅ツイが「再建」のためクラウドファンディングを始めたところ、約900万円の支援が集まった。 「面白いというだけで多くの寄付が集まる。誰かを直接害することはなく、良識ある大人が悪ふざけを全力でやる。まさに洒落ですね」と北弁護士はKBOYの魅力を語る。 その形はさまざまかもしれないが、今年も不動産が大好きなツイッタラーによる「愛」のある投稿がたくさんみられそうだ。
弁護士ドットコムニュース編集部