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帰還困難区域の復興に除染欠かせない 避難解除めぐり住民に困惑

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福島民報

 東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域を巡り、政府がこれまでの要件を維持する一方で、除染をしていない地域でも解除できる枠組みを検討しているのが判明した三日、双葉地方の避難住民に困惑が広がった。「除染なしでは地域の復興は困難だ」と運用について懸念を示し、国に対し早期に明確な指針を示すよう求めた。  富岡町の災害公営住宅に住む漁師の佐藤秋夫さん(53)は「避難指示が解除されても、除染をしなければ周囲の住民は戻らないはず」と不安を口にした。  帰還困難区域内の小良ケ浜地区に自宅がある。二〇二三(令和五)年春の避難指示解除が予定されている町の復興拠点からは外れているため、解除の見通しは立っていない。「自宅周辺は放射線量が高く、一時帰宅をしたとしても一時間が精いっぱい」と嘆く。  原発事故後、田村市に避難していたが、二〇一七(平成二十九)年に妻と町に戻り、漁師の仕事に復帰した。漁に出掛けるのは毎朝午前二時ごろ。近隣の災害公営住宅の住民に迷惑を掛けないよう、町内に一戸建ての自宅を建てたいと考えている。「住み慣れた場所に家を建て直したいという思いはある。政府は帰還困難区域の方向性を早く示してほしい」と思いを語った。

 「避難指示解除に向けた時間軸がはっきりしていない中、思いつきのようなやり方で進めてほしくはない」。大熊町から会津若松市に避難する浅野孝さん(67)は戸惑う。  震災前は町内の薬品会社に勤務する傍ら、コメや野菜を育てる兼業農家だった。原発事故で町内熊地区の自宅は帰還困難区域となったが、特定復興再生拠点区域や中間貯蔵施設整備地から外れた。  家はイノシシなどの動物被害で住めない。自宅近くは自然が多く、水田には草木が生い茂る。帰れる見通しさえ立っていない現状に「帰っても仕方ない」との無念さが募る。「国は帰還困難区域の見通しを示した上で解除要件を考えるべきだ」と指摘した。  いわき市の団体職員山根光保子さん(37)は双葉町の復興拠点内に自宅がある。帰還して新たに暮らす地域の未来を考え、幼児二人がいる家族が安心して生活を送れるような徹底した線量の調査と管理を求める。  「避難指示解除の際はできるだけ多くの町民の声を聞き、除染などについて総合的に判断してほしい」と訴えた。

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