ピーター・ティールが認めた革新的ニュースアプリ「River」の実力
現代のインターネットには誤情報や悪意のあるニュースが多すぎると、ニュースアプリ「River」を立ち上げたジェレミー・フィッシャーは話す。 「例えば、中学生が地理の宿題のために10本の動画をユーチューブで観た場合、その学生が将来的に地球平面説を信じるようになってしまう可能性は十分にある」 調査会社「YouGov」が2018年に実施した調査では、驚くことに若者の34%が、地球が丸いことに疑問を抱いており、4%が「地球は平らだ」と答えていた。地球平面説が広まった背景には2017年に、バスケットボール選手のカイリー・アービングがポッドキャストで地球が平らだと主張したことがあるとされている。 現在36歳のフィッシャーはこの状況に立ち向かうためにRiverを開発した。このアプリは、独自のアルゴリズムによってCBSやニューヨーク・タイムズ、フォックスニュースなどの大手メデイアから、信頼できるニュースのみを抽出する。 さらにトピックのSNSでの注目度や、記事に登場する専門家の評価など、12以上の基準に基づいて信頼性を判断しているという。Riverは検索エンジンのようにウェブをクロールして情報を取り込み、記事を抽出する。 Riverは既に1040万ドル(約11億円)の資金を、ピーター・ティールの「Founders Fund」や、テイラー・スウィフトの過去の楽曲の権利を保有する音楽プロデューサーのスクーター・ブラウン、「Thrive Capital」を運営するJosh Kushner(ジョシュ・クシュナー)、さらに「.406 Ventures」などから調達している。 フィッシャーがメデイア関連のアプリを立ち上げるのは2回目で、2014年に彼は「Days」と呼ばれるアプリを推定1000万ドルでヤフーに売却していた。Daysは、ユーザーの日常を短編動画で記録するアプリだった。
犬や猫の写真ではなく
フィッシャーはその後、ヤフーに勤務した後、プラスサイズの女性向けのEコマース企業Dia & Coで働いた後の2018年にRiverを立ち上げた。 Riverのアルゴリズムは、ユーザーが興味を持つ事柄を学習するのではなく、特定のカテゴリ内で、最も話題性があり信頼度が高いニュースを抽出することにフォーカスしている。利用者が政治や有名人、ビジネスなどの大まかなカテゴリーを選択すると、Riverは最も重要であると判断したコンテンツを表示する。 「このアプリは、犬や猫の写真ではなく、世界で何が起こっているかを見たい人のためのものだ」と彼は述べている。 フィッシャーはRiverが将来的に、インスタグラム上のミームなど、ユーザーが生成したコンテンツも取り込んでいくことを望んでいる。それが実現されれば、Riverのユーザーは、大統領選の討論会でどちらの候補が優勢だったかを知るだけでなく、マイク・ペンスの頭の上に着陸したハエのGIF画像の中で、最も面白いものを楽しめるようになるだろう。
Abram Brown