買いやすく使いやすい中古のオープンカーはどれだ? エンジン中古車探検隊が見つけてきたお値頃の4座オープンカー!
掘り出し物はこれ!
連載『エンジン中古車探検隊』が、オープンカー特集の番外篇として臨時に復活。さっそく一行が向かったのは7年前にも訪れた、横浜の某専門店だった。 【写真25枚】おしゃれでお買い得な4座オープンカーがたくさん こだわりのショップ「バランス」のショールームを尋ねてきた! ウエダ いやはや、久し振りに戻ってきました、エンジン中古車探検隊。今回は巻頭特集と連動してオープンカーの物件を探ってみたいと思うのですが……。 ワタナベ まぁ冬こそオープンカーというのはわからんでもない話だよね。特に東京にいると、5月から11月はちょっと開けたくない感じだもんなぁ。そもそも暑いし。 アライ えっ、ナベさんやたらオープンカー乗ってきてるのに、半年しか屋根開けてないんすか? ワタナベ うん。その半年の中でも数日くらいかなぁ。なんかお調子者にみられそうじゃん、東京だと。 アライ もったいない……。といっても、確かにイキってる感じにみえますしねえ。僕も仕事でオープンカー借りた時は山の中での撮影以外は閉めっぱなしだもんなぁ。 ワタナベ だから、今回はフル4シーターのオープンカーを探ってみようと思うわけ。フル4シーター系って、得てして元ネタもゆるキャラなクルマだったりするから、力みがあんまりないじゃない。 ウエダ そんなわけで今回は、そんなオープンカーを積極的に販売しているお店、横浜のバランスさんに来てみました。 アライ あれ、こちらのお店って、以前デイムラー・ダブルシックスを見に来たところだよね。 ウエダ それが今、ダブルシックスはとにかく店頭に並べられるような販売車が少ないわ、あれば並べる前にお客さんが決まっちゃうわで、お店の体として扱えるものではなくなってしまったそうなんです。 ワタナベ モノが収まるところに収まっちゃってる一方で、クルマを扱えるメカさんの高齢化もあったりして、今はジャガー&デイムラーは代表の熊谷正興さんの個人的なネットワークで面倒をみていらっしゃるんだって。で、お店の方は息子さんの泰徳さんがフル4シーター・オープンを主力にした品揃えで継続されているという。 アライ なるほど。そういうことだったんですね。 ウエダ ちなみに正興さんもフル4シーター・オープンがお好きで、以前はメルセデスのA124を3台乗り継がれたそうです。今の愛車は初代ボルボC70のカブリオレとか。 ワタナベ そして店内には2台も2代目C70のカブリオレの売り物が。自分的にはこれ、意外と好きだったんだよね。 アライ ほう。どこがよかったんですか? ワタナベ 内装のデザインとかシートの掛け心地とか機能的なところはもちろん、ルーフが3分割で構成されているから、Aピラーの角度がおおらかなんだよね。メタルトップのオープンって、2分割ものが多いからAピラーがどうしてもキャビン側にぐっと傾けられてて開放感がないというか窮屈というか……。 アライ ああーなるほど。それわかります。E90系の3シリーズとかF30系の4シリーズとかのカブリオレも、3分割ハードトップでクローズ時の佇まいが綺麗でしたもんね。 ウエダ しかしリトラクタブル・ハードトップ系のオープンカーって、今ではすっかりなくなっちゃいましたね。 ワタナベ 絵面というか風情というか、そういう情緒的な点では幌屋根にはかなわないよね。 アライ 耐候性や気密性なんかもメタルトップに匹敵するくらい進化しましたしねえ、幌屋根も。 ワタナベ となると、気持ち的な護られ感みたいなところがメタルトップの強みかな。クーペ状態に主軸を置きたい人にとってはあって嬉しい選択肢なんだと思う。 ウエダ ではその逆に、プジョーの306カブリオレは開放感抜群ではないでしょうか。かなり淘汰されて数が減りましたけど、こちらの個体はしっかりしてますね。 ワタナベ ほんとだ。半自動の幌の開閉システムもきっちり作動してるし、この年代のラテン系の鬼門である樹脂ものも疲れが少ないね。 アライ いやー、これだけパリッとしてる306はなかなかないでしょう。それだけでもめっけ物かも。 ウエダ ピラーの細さとか、車体骨格的にも開放感が抜群ですね。 ワタナベ それが旧いオープンカーを選ぶ理由にもなり得るよね。全体に華奢で視界もやたらといいから、飛ばす気にならない。クルマの側がほんわかした走りに導いてくれる。 アライ 4シーター系は特に開口部が大きいから剛性も緩いですしね。 ウエダ そういう意味ではこれも適齢期かもですね。初代ニュー・ミニのコンバーチブル。 ワタナベ 走ってのミニらしさという点では、初代を推す人は意外と多いんだよね。これも開閉は複雑なシステムだけどきちんと作動してる。 アライ やっぱりフル4シーターのオープンカーって、芸風的に丁寧に扱われた個体が多いんですかね? ワタナベ 聞いてみると、そうでもないらしいよ。傾斜地でも気にせずにバンバン開閉してれば屋根の骨格も歪むし、保管状況でのウェザーストリップの劣化具合の違いとか、幌屋根に変なケミカル使ってたりしてないかとか、個体ごとにチェックすべき項目にはノウハウがあるみたいだね。 ウエダ 一方で、フル4シーターのオープンカーって新車での設定も減っていますから、物件の確保も大変なんだそうです。 アライ 確かにそうだね。ハイブランド系はさておき、メルセデスもCとEのカブリオレをCLEに一本化したりしてるし、Cセグメントをみれば殆どモノがないし、安定供給されているのはニュー・ミニくらいか。 ワタナベ あちらのBMW2シリーズ・カブリオレも、F23型の後継モデルの登場予定はないみたいだし。このくらいのサイズ感がトランクもそこそこ使えるし、いざとなれば後ろに人も乗れなくはないし、生活の中で使うにはジャストサイズなんだけどなあ。 ウエダ こちらのお店はまさにそういう、日常の生活でオープンカーを使ってみたいというような人に向けて、買いやすくて使いやすいフル4シーターのオープンカーをという主旨で品揃えされているそうです。 ワタナベ 日常と非日常を屋根一枚で使い分ける、そういう選択肢が豊富にあるという贅沢を、我々ももう一度認識しないとね。 ■ボルボC70 C5 GTラグジュアリー・パッケージ 2011年型。ブラック・サファイア・メタリック/カルサイト・クリーム。右ハンドル。5段AT。1オーナー。走行4.3万km。176万円。 ボルボの2ドア・モデル、C70はボルボが英TRWと共同開発した初代(1996年~)と、ピニンファリーナ(およびその子会社)が関わった2代目(2006年~)が存在する。初代はクーペと幌屋根のカブリオレが存在したが、2代目はリトラクタブル・ハードトップのみに。取材車両は2代目の途中でフェイスリフトされた後期モデル。現行のボルボにもカブリオレは存在しない。 ■プジョー306カブリオレ 2002年型。サンダンス・イエロー/ウラガン・グレー。右ハンドル。4段AT。検2025年6月。走行7.6万km。126.5万円。 306カブリオレのような末尾が“6”の世代まではプジョーとピニンファリーナとの関係は深く、406クーペとともにリアのホイールアーチ前方にエンブレムが。306シリーズは直線基調のシャープなスタイルで登場するも、歳月を重ねて後に曲線を用いたややふくよかなラインに。カブリオレが追加されたのは中期モデルから。現行プジョーにオープン・モデルは存在しない。 ■BMW220iカブリオレ・スポーツ 2016年型。グレイシャー・シルバー/コーラル・レッド。右ハンドル。8段AT。1オーナー。走行0.8万km。176万円(売約済み)。 初代BMW1シリーズの途中から加わったカブリオレは、その後2シリーズに名前を変えて継 続し、2015年~2021年まで導入された。取材車両はこの2リッターターボ直4搭載の220i。現行モデルでは2ドアのクーペ(後輪駆動ベース)、4ドア・クーペのグランクーペ(前輪駆動ベース)はそれぞれラインナップされているものの、クーペ・ベースのカブリオレは登場していない。 話す人=渡辺敏史(まとめも)+新井一樹(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也 (ENGINE2025年1月号)
ENGINE編集部