あす9日、房総半島台風5年 死者12人、停電64万軒超 過去最強千葉市風速57メートル
房総半島台風(台風15号)は2019年9月9日、千葉県を直撃した。最大64万軒超の大規模な停電と約8万2000棟の住宅被害を引き起こし、熱中症などで12人が災害関連死と認定された。 気象庁などによると、台風15号は9日午前5時前、千葉市付近に上陸。中心気圧960ヘクトパスカル、最大風速40メートルで、上陸時の勢力は過去に関東を襲った台風の中でも最強クラスだった。同市では57.5メートルの最大瞬間風速を観測し、木更津市などでも40メートル以上の強風を記録した。電柱倒壊などに伴い、各地で停電が発生し、長期間にわたり電気のない生活を余儀なくされた地域もあった。 暴風雨による家屋倒壊などが原因で死亡する「直接死」の人はいなかった。死者12人はいずれも発災後に持病や体調が悪化するなどして亡くなり、災害が原因と認められる関連死だった。当時は残暑が厳しく、停電の影響でエアコンが使えず熱中症の疑いで死亡する人もいた。
◆市原で竜巻、房総豪雨も
19年秋は10月に入っても風水害が相次いだ。12日には東日本台風(台風19号)接近に伴い、市原市で竜巻が発生し1人が死亡。25日の房総豪雨では、12人(災害関連死1人)が犠牲になった。 同市の竜巻では、下野地区で横倒しになった車の中から男性が見つかり、死亡が確認された。同地区などでは竜巻による住宅被害も出た。 房総豪雨の際は茂原市や佐倉市などで水害が発生し、住宅への浸水被害が多発した。茂原市と長柄町、長南町では7人が死亡し、車で移動中に濁流に巻き込まれた犠牲者もいた。各地で崖崩れが起き、千葉市緑区では3人が命を落とした。市原市と佐倉市でも死者が出た。 房総半島台風では県の初動対応が問題になった。今月5日の定例記者会見で熊谷俊人知事は「5年前の教訓を生かし、昨年の台風13号による大雨や今年8月の台風7号には万全の態勢で臨めた。災害対策の強化を続けて防災県千葉を確立していきたい」と述べた。今年の台風シーズンはまだ続くことから「ハザードマップでリスクを確認するほか、備蓄や停電への備え、適切な避難の方法を再確認してほしい」と県民に呼びかけた。