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【論説】G7、世界経済の成長促す協調やはりみられず

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The Guardian

【ガーディアン論説委員】  先月に仏南西部ビアリッツで開かれた先進7か国(G7)首脳会談(サミット)以上に、集団行動が必要とされる場はほとんどないだろう。だが、成功する可能性は最初から悲惨なまでに低かった。G7サミットは本来、先進国が困難な経済や政治の問題に取り組む場だ。バレリー・ジスカール・デスタン元仏大統領が1975年にランブイエで第1回サミットを開催してから状況はずいぶん変わったものの、今回の議題もたくさんあった。その中でも緊急課題は三つ。保護主義、EU離脱(ブレグジット)、そして気候変動だ。  1970年代半ば同様、今の世界経済は不調だ。成長は鈍化し、景気後退の気配が漂っている。G7の一員であるドイツと英国の生産高は低下し、イタリアはすでに景気が後退。世界中の工場の稼働率も100%からはほど遠い状態にある。  原因は、保護主義の傾向だけではない。ここ10年で明らかになったのは、世界経済は2008年から2009年の金融危機から完全には回復しておらず、その回復も、長期にわたる超低金利と中央銀行の信用創造による企業と消費者への貸し付け強化頼みだったことだ。しかし、ドナルド・トランプ米大統領が1年半前に始めた報復関税戦争が、景況感の改善や企業の投資意欲の向上にとってプラスに働いていないことは間違いない。  サミットに対するデスタン元大統領の元々の考えは、指導者たちが非公式の場で互いの懸念事項について私的かつ率直に話し合いをするというものだった。G7には欧州連合(EU)で最も経済力がある4か国が参加している上に、ブレグジットの期限があと約2か月に迫っていることもあり、今回は、世界経済への打撃を最小限に留めるための議論の場になるのではないかと思われたが、その機会は失われた。  そして気候変動をめぐる緊急課題についてだが、開催国フランスのエマニュエル・マクロン大統領が、サミットを南米のアマゾン熱帯雨林を守る場にしようと意気込んだのも当然だ。しかし有意義な行動を起こすためにはトランプ大統領の協力が必要となる。だが、肝心のトランプ氏は世界で最も気候科学を否定している。協力がそう簡単に得られるはずもない。  事前に調理された平凡な共同声明を、よりパンチの効いたものにするのはさほど難しくはなかっただろう。ブレグジットに関しては、G7はムードミュージックを提供する以上のことはできない。心地よいノイズ自体はそう悪くはないにせよ。しかしG7がもっと存在感を示せたはずの場面はあった。経済だ。  世界的な経済成長を促すための同意を結べるとしたら、ドイツが巨大な経常黒字を縮小することなどと引き換えに、トランプ氏に保護主義をあきらめてもらうことだ。G7は中央銀行に対して金利を下げるよう命じる力はないものの、それぞれの国で減税して公共支出を高めるなど、財政政策を通した成長を組織的に押し上げることに同意することはできる。気候変動に関しても、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の約束をG7各国が守るだけでなく、二酸化炭素排出量の少ない経済に移行できるよう、途上国に対し資金援助を約束することもできる。  しかし、こうしたことが実現すると見込んでいたとしたら、認識が甘いと言わざるを得ない。トランプ氏はG7に先立ち、ビアリッツに行かずに米国でゴルフに行きたいと話し、世界経済と気候変動については、解決策ではなく、むしろ頭痛の種を持ち込んだ。ブレグジットに関しても事態改善に努める気もなさそうだ。  G7が機能するためには米国の指導力とコミットメントが必要だ。結局は、そのいずれもみられなかった。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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