リビング学習は「姿勢の悪さ」に注意。骨盤クッションを使う手も。椅子選びから「良い姿勢のメリットを実感する実験」までノロッカ代表に聞く
「良い姿勢」ってどんな姿勢? 椅子の選び方も重要なポイントに
スマホやタブレット、PC等を多くの子どもが日常的に操作する昨今、わが子の姿勢の悪さに悩む親御さんが多いようです。椅子に座っているときの姿勢の良し悪しは子どもの健康にどのような影響を与え、その改善にはどのような対処が必要となるのでしょうか。 【画像7枚】イラストで理想的な座り姿勢を解説 ■「良い姿勢」には、身体的・精神的にもメリットばかり! ── 最近のお子さんたちには、教科書やノートのほか、タブレットやスマホ、ゲーム機のような、熱中しているうちに首が前傾気味になるツールを使用する機会が増えています。椅子に座っているときのこのような姿勢は、やはり子どもの健康に影響をもたらすのでしょうか。 村住さん: 頭の重さはスイカ一玉ぐらいです。そのため、姿勢が悪くなって頭が前に傾くと、首や肩に負担がかかって子どもの頃からの肩凝りの原因となるほか、大人になってからの体調にも影響をもたらす可能性があります。短期的・長期的、両方の問題として捉え、正しい姿勢を心がける必要があります。 ── 反対に、姿勢が良くなると身体的・精神的どちらにおいても良い影響が及ぶものと考えてよいのでしょうか。 村住さん: 私は医者ではないので医学的に深く言及することはできませんが、実際のところその通りだと思います。 姿勢が良いと、酸素をきちんと吸うことができるんです。十分に取り入れた酸素が脳にきちんと届くと、集中力にもつながります。 また、悪い姿勢の場合は腕をしっかりと挙げることができませんが、良い姿勢だと挙がるように、体の動作にも影響があります。 精神面においても、きちんと深い呼吸ができると副交感神経が働きリラックス状態になるので、イライラしにくくなると言われているのです。 ■そもそも「良い姿勢」とは? リビング学習が意外な落とし穴に。 ── 姿勢の中でも、今回は座っている場面を中心にお聞きしたいのですが、理想的な座り姿勢とはどのようなものでしょうか。 村住さん: リビングのテーブルなのか、学校の机なのかで異なることもありますが、共通して大切なことは骨盤を立てた状態で座ること。そして、足をしっかりついて座ることです。左右の坐骨と左右の足の4点をしっかり支点とすることが最も重要なことかと思います。 村住さん: 体を家にたとえるなら、背骨が柱、骨盤が土台です。骨盤が立つとしっかりと坐骨で体を支えることができ、背骨が正しいカーブを保ちやすくなります。逆に骨盤が傾けば背骨も曲がり、背中を伸ばしても姿勢は良くなりません。 ── 学校の椅子や学習机で勉強する際の姿勢の場合はいかがでしょうか。 村住さん: ①ひじ/腰/ひざの角度が約90 度、②足裏がぴったりとついている、③机と体がこぶし一個分開いている。この状態になるように机と椅子を調整しましょう。特に、足がしっかりついているかを確認してください。どんなに骨盤を立てても足で支えなければぐらぐらしてしまいます。 ── 子どもには高すぎて足がつかない椅子って、意外と多いですよね。 村住さん: 本当にそうですね。学校でぶらぶらしている子もいるぐらいです。足がぴったりつくように対処してあげる、というのも大人の仕事です。 ── 具体的にはどのような対処をすればよいのでしょうか。 村住さん: 普段から高さを調整できる椅子を使って、成長に合わせて高さを変えるのが理想的です。テーブルの高さを変えるというのは難しいはずなので。 ── そうですね。しかも、リビングには、大人に合わせたテーブルが用意されている場合が大半ですよね。 村住さん: そうなんです。さらに、今はそのようなテーブルで「リビング学習」をする子も多いです。この場合、足がつかないことが多いので、椅子で調整するか、足を置けるものを用意してあげる必要があるかと思います。 ── 足を置けるものとは、段ボールのようなものでしょうか。それとも踏み台のようなものなのでしょうか。 村住さん: 安定性があるものがよいですね。足台というものも実際に売っています。足台が用意できなければDIYしてもよいかもしれませんが、やはり安定した専用の台を使うほうが理想的です。 ■椅子の選び方のポイントは? 幼児でのストッケ卒業はもったいない! ── 先ほどのお話にも上がったように、良い姿勢を保つためには椅子選びも大切な要素となるかと思いますが、どのようなポイントを重視すればよいのでしょうか。 村住さん: 先述したとおり、まずは高さが変えられるものであることが重要です。テーブルの高さに体を持ち上げたり、下げたりできると便利です。 さらに、足を置く場所がついていると、どのような高さでも足がぶらぶらしないので、良い姿勢が保ちやすくなります。 これらの2つのポイントが揃っているものとしては、ストッケという子ども用の椅子でよく知られるブランドのトリップトラップなどが挙げられます。幼児用の椅子のイメージがありますが、実際には大人でも座れる耐久性があるので、小学生になって卒業してしまうのはもったいないですね。 ── そうなのですね。確かに、幼児で卒業するものというイメージがありました。 村住さん: 私の小学6年生の息子も「リビング学習」の際にはまだ使っています。 ただ、座面が木なので、坐骨を立てて座ってみると、お尻が痛くなることもあるかもしれません。クッションを置いてあげたくなりますが、ふわふわしたようなものだと今度は骨盤を立てて座るというのがなかなか難しくなります。