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「冬眠に似た状態を再現」する“Q神経“の衝撃…「人工冬眠」研究に大きな一歩

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BUSINESS INSIDER JAPAN

冬、寒くなると大量の食べ物を確保して巣穴にこもり、春に暖かくなるまで冬眠する。 できればそんな動物のような生活を送りたい……そう夢見たことのある人には、朗報かもしれない。 【全画像をみる】「冬眠に似た状態を再現」する“Q神経“の衝撃…「人工冬眠」研究に大きな一歩 6月5日、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)と理化学研究所は、「冬眠状態を促す神経回路を発見した」と発表。6月11日、イギリスの科学誌Nature(オンライン版)に掲載された。

冬眠のきっかけは謎に包まれていた

「冬眠に興味を持っている研究者は多いです。ただこれまで、いつ、どこで起きるのかまったく分からなかったので、研究しようがなかった」 そう話すのは、共同研究者として研究に携わった、理化学研究所の砂川玄志郎博士。 クマやリスなど、冬眠をする身近な動物は比較的すぐ思いつく。 しかしこれまで、彼等がどうやって冬眠しているのか、そのメカニズムは全くの謎に包まれていた。 今回の発表は、動物はもちろん、将来的には人間までも意図的に冬眠状態にする技術を開発することにつながるかもしれない、第一歩目の研究成果だともいえる。

「神経が活性化して冬眠」を確かめるには?

今回の研究は、筑波大学で睡眠について研究している櫻井武教授の研究グループによる実験がきっかけとなった。 櫻井教授の研究グループが、睡眠や体温などを司る脳の中枢に存在する特定の神経に注目して行った実験の中で、マウスの動きが止まり、さらに体温まで低下している、まるで「冬眠」のような状態が確認されたのだ。 当然、体温が低下したからといって、冬眠状態になっているとは限らない。そこで、約2年半前の2017年12月、砂川博士に共同研究がもちかけられたという。 「嬉しかったし興奮したのを覚えています。本当だったらすごい話だったということは、その瞬間分かったので」 と、砂川博士は当時を振り返る。 では、「冬眠」とはどういう状態なのか。 「冬眠中は食べ物をほとんど食べない」「長期間巣にこもって眠り続ける」といったようなイメージもつ人は多いかもしれないが、砂川博士は、 「その考えは概ね正しいのですが、加えて生物学的にいうと、体温を下げてエネルギーの消費量を落とし、体温を下げているのが冬眠状態です」 と話す。 私たち人間をはじめ、あらゆる動物は生きるだけでエネルギーを消費してしまう。その最低消費エネルギーを「基礎代謝」という。冬眠中の動物では、この基礎代謝が大きく低下しているのだ。 中には冬眠中の代謝が通常時の1%程度になってしまうものもいるという。 いわば冬眠は、究極の省エネ機構というわけだ。 実際にその動物が冬眠しているかどうかを確かめるには、体温の低下などとともに、エネルギー消費量を測定しなければならない。

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